世界一の喜びは格別だった。女子62キロ級で初優勝を果たした尾崎は「自分のやりたいこと、欲望を全部断ち切ってここに懸けてきた。もう最高」。19歳の初々しい笑顔がはじけた。 決勝の大一番で伸び伸びと戦った。開始早々に背後を取ってから、得意のアンクルホールドで転がして4点。「この技は私の技と言っていいほど、自信がある」。これで勢いに乗って第1ピリオドでテクニカルフォール勝ちし、両手をたたいて喜んだ。 慶大で学業と両立させながら、昨年は銅メダルを獲得。さらなるレベルアップのため、他の大学の練習場にも足を運んで鍛錬を重ねてきた。「恵まれた環境でやれてありがたい。金メダルを取れたのは、(支えてくれた)方々のおかげだと身に染みた」と周囲に感謝した。 同じ階級には、東京五輪金メダルの川井友香子(サントリービバレッジソリューション)がいる。「またここに立つには、日本で勝たないと。ここで気を緩めることはない」。五輪で表彰台の真ん中に立つまで、挑戦は続く。 (ベオグラード時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕女子62キロ級決勝、ミラクル(右)を攻める尾崎野乃香=13日、ベオグラード 〔写真説明〕女子62キロ級で金メダルを獲得した尾崎野乃香=13日、ベオグラード