村上が放った55本の本塁打を、1964年の王の55本と比較すると、特徴が浮かび上がる。村上は走者が塁上にたまるほど集中力が増し、本領を発揮するタイプのようだ。 村上は55本のうち、満塁本塁打が4本。王は0本だった。味方の出塁も関わるため単純には比較できないが、村上がチャンスに強いことを示す指標の一つと言える。50年に西沢道夫(中日)が記録したシーズン最多記録の5本にあと1本に迫る。3ランも村上は10本放ち、王の5本を上回る。2ランは王が23本と村上の19本をしのいだ。 村上と王はともに左打者だが、本塁打の打球方向に打者としての性格の違いが表れている。王は55本のうち、実に9割近い49本が右越え。守る側が「王シフト」を考案したほどの「プルヒッター」だった。一方で村上は、右越えと右中間が合わせて24本、中越えが13本、左越えと左中間が合わせて18本。広角に打ち分けられる技術の高さが目を引く。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕9回、55号3ランを放ち歓声に応えるヤクルトの村上=13日、神宮 〔写真説明〕4回、ソロ本塁打を放つヤクルトの村上=13日、神宮