ブラジルのエース、ネイマールにとって過去2度のワールドカップ(W杯)には苦い思い出しかない。 初出場となった母国開催の2014年大会では、1次リーグ3試合で4得点を挙げるも準々決勝で腰椎を骨折。1―7で惨敗したドイツとの準決勝をピッチ外で見守るしかなかった。右足の手術明けで臨んだ前回ロシア大会は準々決勝敗退。さらに、接触プレーの際に大げさに倒れる姿が「ダイブ」とやゆされ、批判の的となった。 不完全燃焼で終わった過去2大会を経て、30歳となり迎える今大会。昨年11月、ネイマールは「DAZN」のインタビューで最後のW杯となるとの見通しを述べ、「最高の状態で臨み、母国のために優勝を目指す」と闘志を燃やす。その思いを示すように、所属するパリ・サンジェルマン(フランス)では今季、ゴールとアシストを量産。大舞台へ順調な仕上がりを見せている。 6月の日本代表との国際親善試合でゴールを挙げ、歴代2位の代表通算得点を74に伸ばした。9月の国際Aマッチ期間を前に、歴代最多の「王様」ペレに3点差と迫り、前人未到の記録更新も目の前だ。 王国の期待を一身に背負う背番号10。02年日韓大会を最後に世界王者から遠ざかる母国を6度目の頂点に導き、「子供の頃からの最大の夢」をかなえる。 (時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕日本代表との国際親善試合でプレーするブラジルのネイマール(左)=6月6日、東京・国立競技場(AFP時事)