賜杯を抱いた経験なのだろう。取り口に貫禄がより漂うようになってきた。力強く当たった逸ノ城は圧力をかけながら前へ。大関貴景勝は何とかいなして回り込もうとするのが精いっぱい。完勝。先場所の主役が上々の滑り出しだ。  本人が「思い通りにできた」と淡々と振り返った一番。八角理事長(元横綱北勝海)は「自信を持っている。無理に慌てて攻めない」と褒めた。  理想の立ち合いに近づいてきているという。以前は、得意の右四つに持ち込もうと、早くまわしを欲しがっていた。師匠の湊親方(元幕内湊富士)には、その姿が強みを消しているように映った。212キロの巨体が最大の武器。「鋭く当たれば、流れでまわしは取れる」と伝え、低い姿勢で速く動くすり足を繰り返すように指導。その成果を実感する弟子は「まわしを取れなくても、前に出る状況をつくればいい」と意識が変わってきた。  先場所の優勝額が国技館に掲げられた。「夢のよう」と喜びを語った逸ノ城は「一つだけでは終わりたくない」とも言った。当面の目標は三役で初めての2桁白星。それが達成できれば、大関への道筋が見えてくる。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕貴景勝(左)を攻める逸ノ城=11日、東京・両国国技館
情報提供元: 時事通信社
記事名:「 逸ノ城、自信みなぎる=貴景勝に完勝―大相撲秋場所