陸上男子110メートル障害の元日本記録保持者、高山峻野(ゼンリン)が好走を続けている。8月6日の実業団・学生対抗大会で日本歴代2位の13秒10(追い風0.6メートル)をマークし、同20日のナイトゲームズ・イン福井では雨の悪条件でも13秒36。7月の世界選手権(米オレゴン州)出場を逃した27歳は、来年の同選手権(ブダペスト)で代表返り咲きをにらんでいる。 2019年に当時日本記録の13秒25を出し、同年の世界選手権(ドーハ)で準決勝に進出。昨夏の東京五輪にも出場した実力者だが、今季前半は精彩を欠き、日本選手権では5位に終わった。 その後は、精神的なゆとりを持ちながら競技に取り組んでいる。従来は試合が近づくと「ずっと集中して、レースの日には疲れていることがあった」と明かす。オフのみに限っていた飲酒をシーズン中も「解禁」した。 実業団・学生対抗では3年ぶりに自己ベストを更新し、来年の世界選手権参加標準記録(13秒28)を突破。「たまたま」と謙遜しつつ、地道にウエートトレーニングを積み、3年前よりも地面を力強く踏めている感覚があるという。日本選手権の後に使い始めた厚底のスパイクも、接地時間の短い自身の走りに合っていると感じている。 この種目は競争が激しく、13秒06の日本記録を持つ泉谷駿介(住友電工)、新鋭の村竹ラシッド(順大)らと火花を散らす。「多分みんな(標準記録を)切ってくる」と気を引き締め、「今年は自分の思うようにやって、(24年のパリ)五輪に向けて合わせていければ」。自然体の構えで、世界選手権の先にある大舞台を見据えている。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕ナイトゲームズ・イン福井の男子110メートル障害で力走する高山峻野(手前)=8月20日、福井県営陸上競技場 〔写真説明〕東京五輪陸上男子110メートル障害予選、力走する高山峻野=2021年8月3日、東京・国立競技場