打った瞬間、本拠地が大歓声に包まれた。0―2で迎えた六回1死一、二塁。エンゼルスの大谷が2ボールからの3球目、甘く入って来た約158キロの直球を完璧に仕留めた。中越えの逆転30号3ラン。一塁を回ったところで右拳を力強く握り締めた。 「チャンスだったので、どんどんストライク(ゾーン)に来たら振ろうと。いい結果になったので、すごくいい本塁打だった」 相手は昨季ア・リーグ最多勝のコールで、対戦成績は試合前時点で17打数3安打、本塁打なしと苦手にしていた。一回は初球の変化球を捉えたが、フェンス手前で捕球され、惜しくも中飛。六回に文句なしのアーチを架けた。 昨季46発の大谷にとって2年連続の30本塁打で、松井秀喜も達成できなかった日本選手初の快挙。米大リーグ公式サイトによると、同一シーズンの2桁勝利、30本塁打はメジャー史上初で「単純にうれしい。ここまで安定して、しっかり出続けられているのがいいところ」と喜んだ。 最優秀選手(MVP)を争うジャッジについて「見ているだけでも勉強になる。素晴らしい打者」と話す。そのジャッジを筆頭にスター選手がそろうヤンキースを本拠地に迎えたカードで2勝1敗と勝ち越した。大谷は29日に続いて決勝アーチを放ち、この3試合は12打数5安打5打点。堂々と主役を演じてみせた。 (アナハイム時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕ヤンキース戦の6回、30号の逆転3ランを放つエンゼルスの大谷=8月31日、アナハイム