ホンダが自動車のF1シリーズに深い関与を続けることになった。正式には昨季限りでパワーユニット(PU)供給元としてのF1活動を終了したが、今季もPU製造会社のレッドブル・パワートレインズに対してホンダ・レーシング(HRC)が技術支援を行っている。 強豪レッドブルと角田裕毅が所属するアルファタウリのマシンは、HRCが組み立てる実質ホンダ製のPUを搭載しており、レッドブル・グループとの協議でHRCの支援を2025年まで継続することで合意。今月2日に発表された。 HRCの渡辺康治社長は「新たなPUの開発を伴わないため、現在のリソース(資源)で支援を継続できると判断した」と説明した。22~25年のPU規定では、パワーを上げる開発は凍結されているが、耐久性や信頼性の向上、車体とのマッチングに関する開発は許されている。 当初の計画では、HRCの支援は今季に限定。来季以降、レッドブル・パワートレインズは自前でPUの製造や組み立てを行う必要があった。しかし、レッドブルの要請を受けてホンダが方針を転換。現行の支援態勢の延長を決めた。 HRCでは現在、PUの部品を調達して組み立て、テストを経て出荷。さらにレース後に戻ってきたPUのメンテナンスや不具合箇所の解析、対策を実施している。また、レース中もPUの稼働状況を監視し、現場への助言も担う。 レッドブルのモータースポーツアドバイザー、ヘルムート・マルコ氏は「ホンダのPUで25年まで戦い続けられるのはとても心強い」と支援継続を心から歓迎している。 (時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕「HRC Sakura」(栃木県さくら市)で行われているホンダのF1パワーユニット(PU)のメンテナンスの様子(ホンダ提供)