監督交代による再出発―。鹿島は「劇薬」の効果が早々に出た。攻撃をけん引した鈴木は「戦術も大事だが、信頼されるのが一番大事だった。信頼されているとその人のために力を発揮できる」。先制後にベンチへ走り、岩政新監督に抱き付いた場面が、その関係を表していた。 前半10分。鈴木が果敢にゴール前へ進入し、右足で振り抜いたボールは相手に当たってオウンゴールを誘発。鈴木は定位置のFWの仕事だけでなく、中盤の位置から見事な配球を何度も見せた。 1―0で迎えたハーフタイム。先行逃げ切りは鹿島の伝統だが、ロッカールームの雰囲気はこれまでと違った。「新しいアントラーズの姿を見せよう」(鈴木)。監督を含め、さらに得点を求める声が飛び交った。 クラブOBの監督は、リーグ3連覇の黄金時代を知る。球際の勝負でも圧倒された福岡の長谷部監督は「ここ最近にない、もともと持っている鹿島の強さを感じた」と表現した。 「準備には手応えがあった。選手は一体感を持ってやってくれたので今後につながる」と岩政監督。2位に再浮上し、さらなる追い上げを誓った。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕勝利を喜ぶ鹿島の岩政監督(左から5人目)=14日、カシマ