多少の荒れ球は気にさせないほどの投げっぷり。巨人の直江は懸命に腕を振り、8度目の先発でプロ初勝利を果たした。「今回は絶対につかみ取る気持ちだった。何度も失敗して、やっと一つ上にいけた」。4年目の右腕は充実感を漂わせた。 力のある直球が際立った。押し引きも忘れず、四回1死一、三塁では西川にカーブを見せ、フォークを振らせて空振り三振に。続く坂倉は二ゴロで仕留めた。右手にまめができたが、自己最長の6回を無失点。攻めの姿勢を貫き、「しっかり打者と勝負する気持ちだった」と誇った。 長野・松商学園高から2019年に入団。20年10月に腰の手術を受けた。「体が硬くなり、以前と違った」と不安を覚えたが、育成選手になってもリハビリに励み、呼吸法も研究した。力を入れて息を止めた時に腹筋を意識し、重心の傾きを直すと球威が増した。昨季6月に支配下へ戻った。 先発の軸に成長した戸郷と同じ22歳。「彼は年間10勝、僕は1勝するのに4年かかった。大きな差なので、もっと能力を高めたい」。刺激し合う若手の成長が、今の巨人を活性化している。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕プロ初勝利を挙げた巨人先発の直江=13日、東京ドーム