3奪三振、103球での完封。中日の大野雄は打たせて取る投球が光った。「ストライク先行でどんどん攻めていけた」と平然と話した。 制球が抜群で「リラックスして投げられた」と振り返ったほど安定感があった。左腕から切れのある直球やカットボールなどを内外角に投げ分け、浮いたボールはほとんどなかった。 阪神が喫した3併殺打を、大野雄は「狙ったダブルプレー」と言い切った。中でも手応えがあったのは九回無死一、二塁でロドリゲスを仕留めた遊ゴロ併殺打。2ボール2ストライクから外角にツーシームを2球続けた。「ツーシームをいいところに投げたらゴロで後ろにいくファウルになった。もう一個高いところで前に転がる」。思い描いた通りだった。 投手主将としての自負がある。6月17日以来の白星となっても「チームの柱として投げているつもり。その投手が2カ月近く勝てないのは情けない話」と喜びは控えめだった。野手主将の大島がコロナ陽性で離脱したこともあり、「自分が引っ張っていけたら」と気持ちを新たに話した。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕阪神に完封勝利し、捕手の木下(右)と喜ぶ中日の大野雄=12日、京セラドーム