フィギュアスケート男子で7月にプロに転向した羽生結弦さん(27)が、アイスショーや後進育成への思いを語った。原点であり、今も拠点とするアイスリンク仙台で「SharePractice」と題して練習を公開した後、時事通信社のインタビューに応じた。 プロスケーターになって、今後は座長としてショーやツアーを展開したいかと聞くと「そういう気持ちで今動いているところ」と答えた。今はショーの構想を練っているとして、「皆さんが羽生結弦として見たい演技とか、そういったものがちゃんと届く機会を考えながらつくっている段階。実際に見ていただいた時に期待していた以上のものができるように準備していきたい」と語った。 自身のスケートをどれだけ高められるかを追求しつつ、指導にも関心を示す。「将来的には自分の経験とか、その時代に合った技術を勉強しながら伝えていける立場にもなれたら」。どんな選手を育ててみたいか、との問いには「勝ちたいと思った時に勝てるようなスケーターの手伝いはしたい」。常に勝ちにこだわってきた羽生さんだからこそ育てられる逸材が出てくるかもしれない。 公開練習ではまず、連覇を遂げた2018年平昌五輪のフリー「SEIMEI」をミスなく演じることにこだわった。自身の代表作を「アーティストで言うところのメジャーヒット曲」と表現。「皆さんの原点みたいなものに触れながら、あの時よりもこんなにうまくなったんだな、というところを見ていただきたいなと思った」と話した。 競技会から退いても前人未到のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)への思いは変わらない。「技術的な力みたいなものって、(回転数にかかわらず)絶対に湧き上がる感情が何かしらある。そこに回転数がすごく多いとか、すごくダイナミックなジャンプだったというものがあれば、もっともっと表現のツールとして強い。だからこそ4回転半はしっかりやり切りたい」。プロとして4回転半を成功させる意義を、そう語った。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに答える羽生結弦さん=10日、仙台市内