唯一とも言える一回のピンチを併殺打で切り抜けると、リズムに乗ってすいすいと投げた。西武の与座が持ち味を存分に発揮し、プロ5年目で念願の初完封。「一人で投げ切ることは今季の目標だった。素直にうれしい」 下手投げならではのテンポの良さと球速差に、相手打線の戸惑いは明らか。中でも強打者の柳田を翻弄(ほんろう)した。四回の打席の初球は130キロの直球。外に逃げる変化球で追い込み、続く3球目。103キロの緩いカーブを内角高めへ投じ、バットが空を切った。九回の対戦でも、低めから浮き上がる131キロの直球で空振り三振。柳田は思わずバットを地面にたたきつけた。 圧倒的な球威がなくても抑えられる奥の手の一つが、あえて投じる高めの球だ。「他の投手とは違う軌道。低めばかりだと打者も慣れてくる」と与座。この日もその直球を軸に凡打の山。辻監督に「最後まで行け」と背中を押され、無四球で112球を投げ抜いた。 希少な「サブマリン」として腕を振る26歳。チームトップの8勝目を手にしたが、「シーズンが終わった時に、いくつ勝てるか。今は気にせず自分の仕事を全うしたい」と頼もしかった。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕ソフトバンクに勝利し、喜ぶ与座(右から2人目)ら西武ナイン=30日、ペイペイドーム