地道に努力を重ねる31歳が輝きを放っている。自身最速で給金を直し、照ノ富士らとトップに並ぶ錦木は、「こんなに早く勝ち越すのは初めてなので、とてもうれしい」と素直に喜んだ。 立ち合いの変化もある千代翔馬を警戒。やや遅れ気味に立ったが、右差しから休まず攻撃。相手が引いた機を逃さず、一気に押し出した。 「鉄人」玉鷲の記録に隠れがちだが、先場所14日目に通算連続出場1000回をマークした。9場所の十両暮らしを経て、再入幕した春場所から3場所連続の勝ち越し。本人が多くを語らなくても、八角理事長(元横綱北勝海)は「とにかく稽古を一生懸命やる。巡業でも必ず土俵に立っている。努力している人が報われる」。周りはひたむきな姿を知っている。 今場所前に引退した松鳳山のしこ名が入った浴衣で場所入り。錦木は15歳の春にデビューしたたたき上げで、大学出身の松鳳山とは7学年違うが、仲が良かった同期生とあって、「(今場所は)着られる限り着たい」。迎える終盤戦でも背中を押す力になりそうだ。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕千代翔馬(左)の腕を取る錦木=19日、愛知・ドルフィンズアリーナ