新入幕らしからぬ堂々とした取り口を披露している。25歳の錦富士が千代翔馬を破り、2敗のトップに並んで折り返し。躍動する姿に期待も高まる中、「調子に乗らず一日一番」と冷静だ。 立ち合い。千代翔馬が右で上手を狙って大きく変化したが、動じることなく対応した。「当たりながらしっかり出て行く」。右でまわしをつかんで攻め、上体の浮いた相手を難なく寄り切り。力強かった。 近大を中退し、初土俵から6年をかけてつかんだ幕内の座。これまでは、けがに悩まされることが多かった。幕下だった2019年秋場所の取組で左肘を負傷。手術をくり返し、相撲を取れない時期も長かったという。 この苦しい時間を無駄にしなかったからこそ、今があるのだろう。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)からの助言で、痛めていないところを鍛え上げた。左に比べて9センチほど太い右腕が鍛錬の証しだ。 後半戦も好調ぶりを示し、どこまで新風を吹かせることができるか。「精いっぱいやるだけ」と誓い、土俵に上がる。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕千代翔馬(手前)を攻める錦富士=17日、愛知・ドルフィンズアリーナ 〔写真説明〕錦富士(左)は千代翔馬を寄り切りで破る=17日、愛知・ドルフィンズアリーナ