ともに上を目指す同世代の熱戦に館内が沸いた。若隆景が霧馬山に動き勝って星を五分に。2連敗スタートから、本来の相撲を取り戻してきたようだ。 場所前に稽古場で番数を重ねた相手に、「しっかり自分の相撲を取ろうと思った」。突っ張られて土俵際まで後退したが、右上手を引いて反撃開始。いったん離れておっつける。右を差す。低い体勢で頭をつけて我慢。左もこじ入れて一気に寄り倒した。 3月の春場所で12勝を挙げて初優勝を遂げ、先場所は9勝。今場所、大関昇進の目安とされる33勝に到達するのは現実的ではない。伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)の見方は厳しく、「先場所の相撲はあまり良くなかった。安定した成績を残さないといけないし、むらがある」。星勘定より、まずはこの日のような攻撃相撲に徹することだろう。 5日目の豊昇龍戦に続く好内容。本人は状態が上向いていることを自覚しており、「しっかり自分の相撲を」と繰り返す。三役以上は2敗が最高という荒れる場所。「一日一番、一生懸命」を貫けば、再び旋風も起こせる。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕若隆景は霧馬山(左)を寄り倒しで下す=15日、愛知・ドルフィンズアリーナ