新型コロナウイルス感染拡大の影響で縮小開催が続いていた大相撲。10日に初日を迎える名古屋場所では、ようやく観客数の制限が撤廃された。「お客さんに少しでも満足してほしい」と願うのは、同場所担当の岩友親方(元幕内木村山)。地方のファンのため、日々準備に精を出している。 会場ならではのグルメは、生で観戦する醍醐味(だいごみ)の一つ。好評のちゃんこ屋台に加え、新たにキッチンカーもお目見えする。今年は座席での軽食が認められるだけに、観客の舌も楽しませてくれそうだ。 グッズ販売の売店を増やすなど、ファンサービスに注力する親方衆。思いは力士も同じで、横綱として初めて名古屋場所に臨む照ノ富士は「お客さんが盛り上がることによって、こっちも楽しかったなと感じられる」。猛暑が悩ましい時期でも、館内を満たす熱気なら大歓迎だ。 多くの観客を迎えるからこそ、コロナ対策には十分に気を配る。換気のために館内に設置する扇風機の台数を増やすなど、「これまでの対策をより強化する」と岩友親方。救急車を複数台待機させ、万一への備えも怠らない。 無観客だった2020年3月の春場所から2年以上がたつ。今場所後には巡業が再開され、11月の九州場所も通常開催を予定。岩友親方が「次につなげるために名古屋がある」と言うように、ここは起点でもある。期待感と緊張感を胸に、関係者は初日を待っている。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕コロナ前、大入りの盛況だった名古屋場所=2019年7月7日、愛知・ドルフィンズアリーナ