左中間深くを割る打球を見届けると、巨人の吉川は両拳を高く掲げた。チームに1カ月ぶりの3連勝をもたらす、自身3本目のサヨナラ打。「気持ちで打った。最高の味だった」。お祭り騒ぎの仲間から水をかけられ、心地よさそうに浴びた。 とにかく食らい付いた。延長十回2死一、二塁。追い込まれてから、甘い変化球を逆方向にたたいた。「打てるボールには全て飛びついていこうと思った。投手陣が頑張っていたし、ほぼ全員が出場した状態で決められた」と喜んだ。 初夏の不振がうそのようだ。打率3割台だった5月に、左肩に死球を受けて離脱。復帰後の6月は月間打率が2割4分台に沈んだ。自分の中で何が変わったのか。好調時の映像を見返し、「いいイメージというか、良くなる練習を」との気持ちで復調にこぎ着けた。 開幕当初の切り込み役に戻り、3試合連続で複数安打。チームも総力を尽くし、8カードぶりの勝ち越し。「やはり勝つとうれしい。一勝でも多くこだわっていきたい」。その喜びを重ねて初めて、首位ヤクルトの背中がおぼろげに見えてくる。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕延長10回、サヨナラ打を放ち、喜ぶ巨人の吉川(奥)=6日、東京ドーム