神戸の術中にはまったまま試合が終わるかと思われた後半ロスタイム。劇的なゴールで川崎に勝利をもたらしたのは、主将の谷口だった。 小塚からの右CK。谷口は近いサイドに走り込んでマークを外すと、高い打点のヘディングでゴールに突き刺した。「どうにかして点が欲しかったので、信じて飛び込んだ。気持ちで押し込んだ」。守備の要がリーグ戦で得点を挙げるのは2季ぶり。プレー再開直後に終了の笛が鳴った。 試合を通して、組織的に守備を固めてきた神戸に苦しめられた。ボールを支配してパスを回しながらも、決定的な場面はつくれない。鬼木監督は「もっとアグレッシブにいけたらよかった」。過密日程の難しさもあったのか、流れの中では最後まで相手を崩せなかったが、それでも勝ち切れるのが王者の強さ。谷口は「苦しい展開の時にセットプレーで取れたら大きい」と胸を張った。 4連勝となり、ACL期間中に鹿島に奪われた首位に返り咲いた。「常にトップで居続けることをここ数年は意識している。追われる立場で相手を倒して強くなってきた」と谷口。アジアの戦いでは今回も涙をのんだが、3連覇が懸かるリーグの頂点は譲らない決意だ。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕後半終了間際、決勝ゴールを決め、祝福される川崎の谷口(左手前)=18日、ノエスタ