混戦模様の夏場所で、佐田の海が存在感を示している。ただ一人土つかずの碧山との一番。「自分も好調だと思っていたので、あまり気にならなかった」という。気後れせずに立ち向かった。 自身より40キロほど重い巨漢の突きを受けても、「我慢して頭を上げないように」と念じた。はね上げながらしぶとく攻めると、相手が根負けして引く。踏ん張って体勢を立て直し、下から押し上げるようにして土俵を割らせた。 玉鷲らベテランが好調な中、佐田の海も負けていない。「(本場所がない)偶数月を大事にしろ」という師匠の境川親方(元小結両国)の教えを胸に刻み、たゆまず稽古に励んできた成果が見える。 4日目の11日に35歳の誕生日を迎えた。「入門した頃は、この年までやれるとは思わなかった。自分の相撲さえ取れれば、まだまだ通用する」。足が土俵になじむ感覚が、好調時のバロメーター。それが今はある。 新入幕だった2014年に敢闘賞を獲得し、15年には日馬富士から金星を奪うなど、思い出も深い夏場所。1敗を守って8日目を迎えるが、「まだ半分も終わっていない」と平常心を貫く。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕佐田の海(左)は碧山を押し出しで破る=14日、東京・両国国技館