逆転劇の主役は、期待の大砲だった。中日3年目の石川昂が4打点。巨人戦3連敗に直面したチームを救い、「みんながつないでくれたので、自分もつなげてよかった」と喜んだ。 1―6で迎えた三回1死満塁。浮いた変化球を逃さず右中間へ運んだ。「いい感じで打てた」一打は、プロ初の三塁打。この回5点の猛攻で試合は振り出しに戻る。四回は1死二、三塁で打席が回り、初球の直球を打ち上げて勝ち越しの右犠飛。「最低限の仕事ができた」 チームの地元、愛知・東邦高からドラフト1位で入団。立浪監督が「将来は日本代表の4番を打てる」とほれ込む逸材は今季、全試合に三塁で出場。期待に応え、チーム2位の13打点と奮闘する。 昨秋から首脳陣付きっきりで打力向上に励んできた。懐を広く取って、前でさばく―。練習では打席の1メートルほど前に立つなど工夫を重ね、理想の打撃をつくり上げつつある。「練習から逆方向にいい打球が飛ぶようになってきた」。指揮官はうれしそうに成長を認めた。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕3回、満塁で走者一掃の三塁打を放つ中日の石川昂=24日、バンテリンドーム