この一打が浮上のきっかけとなるか。8番に打順を下げたオリックスの杉本にやっと快音が響いた。24打席ぶりの安打が決勝適時打となった。 両チーム無得点で迎えた五回無死一、三塁の好機で打席へ。2球で簡単に追い込まれたが、「何とかなるだろう」と切り替えた。3球目の外角の変化球に体勢を崩されながらもバットに当て、「いいところに飛んでよかった」。しぶとく三遊間を破った。 昨年は本塁打王となり、リーグ優勝の立役者となった。しかし一転、今季は不振にあえぎ、試合前までの打率は1割1分3厘。勝率5割に届かず乗り切れないチームとともに苦しんでいる。それでも「暗くならない」と気持ちの面を意識。中嶋監督に「もうお前には期待していないから」と冗談交じりに突き放されたことも、「うれしいというのはおかしいが、気が楽になった」と前向きに受け止めた。 新型コロナ禍で3試合が中止になったこともあり、チームにとっては1週間ぶりの白星。上位争いに置いていかれないためにも、杉本の復調は欠かせない。「(ポジションが)確約されているとは思っていない。もっと必死にやらないと」と胸に誓った。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕5回、先制の適時打を放つオリックスの杉本=16日、京セラドーム