昨年は自分が中心にいた優勝争いから遠ざかり、松山は最終日を迎えた。1番で1.5メートルにつけたが、パットが決まらずパー。出だしで勢いをつけられず、その後も読みの難しいグリーンに苦戦した。「何か(復調の)きっかけがあれば、と思って4日間やっていたが、見つからず終わった。もう少し優勝争いに絡みたかった」。無念さをにじませた。 大会直前の3月に首付近を痛め、思うような調整ができないまま臨んだマスターズ。それでも、第2ラウンドでは厳しい条件のコースを冷静に攻めて2位まで浮上。世界屈指といわれる精度の高いアイアンでは、3年ぶりに例年の規模に戻ったパトロンを何度も沸かせた。「よく痛みなく72ホールできたなと思う。いいプレーはできなかったが、悪くてもこの位置で回れているのはよかった」と本音ものぞく。 最終18ホールでは、グリーンを囲むパトロンが立ち上がり、前年王者として温かい拍手で迎えられた。帽子を取って応えた松山は「(来年は)けがをしないでここに乗り込んできたい」。雪辱の思いを口にして、特別な大会を終えた。(オーガスタ時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕最終ラウンドの2番でパットのラインを読む松山英樹=10日、米ジョージア州オーガスタ(AFP時事)