カップの左側からボールが消え、鬼気迫る表情で香妻がほえた。桂川とのプレーオフ1ホール目。「何が何でも勝ってやろう」と7メートルを沈め、正規の17、18番を含めて3連続バーディー。ツアー2勝目を手にし、「こんなに苦しい中で勝てたのがうれしい」と喜んだ。 「打つたびにミスショット」と言うほど状態は芳しくなく、我慢の展開に。5番で残り102ヤードの第2打を直接入れてイーグルを奪ったが、流れは上向かない。13、16番でボギーをたたき、スタート時に5打差をつけていた桂川に終盤で逆転を許した。 追い込まれた状況で地力を発揮した。パー5の17番できっちり伸ばすと、18番では6メートルを沈めてガッツポーズ。プレーオフのバーディーパットとともに「気持ちで入れた」と振り返った。 昨年は3度の2位が最高だった。プロにとって難しいと言われる2勝目を挙げ、「調子が悪い時のゴルフの仕方を考えさせられた」。ひたすら喜んだ2020年11月の初優勝とは、違う味がした。 今季の目標に複数回優勝を掲げる27歳。「(海外)メジャーに挑戦したい。すぐにでも(今季)2勝目、3勝目を挙げて、賞金王争いまでこぎ着けられれば」。力強く、さらなる飛躍を誓った。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕プレーオフ1ホール目、バーディーを奪って優勝を決め、ガッツポーズする香妻陣一朗=3日、三重・東建多度CC名古屋