市和歌山のエース米田が、自らのバットで試合を決めた。同点の九回1死一、二塁で右中間を深々と破るサヨナラ打。「今まで耐えてきたことが報われて、感情が爆発した」。ベンチを飛び出した仲間と抱き合って喜んだ。 九回表のピンチを切り抜けた直後の打席だった。米田監督から「ここまでいいゲームをしてきた。あとはお前が決めろ」と伝えられ「積極的に振っていこうと。そういう気持ちが出た」。4球目、低めの変化球を捉えた。 投げては1失点完投。速球を主体に花巻東のスラッガー佐々木を無安打に封じた1回戦とは一転し、緩急や動く球を自由自在に使った。好投手を打ち崩して勝ち上がった明秀日立は、直球にはしっかり合わせてくるという分析があった。「(カットボールやツーシームが)ストレートの軌道で入ってくれば、芯を外れて有効になる」。走者を出しても慌てずに後続を打ち取り、投球の幅を見せた。 昨年はね返された2回戦の壁を越えた。強豪との対戦を通して成長していくナインを、半田監督は「(昨年より)弱い中でスタートしたチーム。米田が中心となって引っ張って、よくここまで来た」と誇らしそうにたたえた。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕9回裏市和歌山1死一塁、二塁、サヨナラ打を放ちチームメートに祝福される米田(右)=27日、甲子園 〔写真説明〕9回表明秀日立2死二塁、三塁、本坊を打ち取ってピンチをしのいだ市和歌山の米田=27日、甲子園