苦しい船出だった。昨年9月、日本は初戦で格下のオマーンに0―1で敗戦。12戦無敗だった相手にホームで初黒星を喫し、「負けるべくして負けた」と主将の吉田。相手は周到に約1カ月の合宿を実施して来日したが、欧州組が中心の日本は実質2日間の調整。コンディション面でのばらつきは明らかだった。 アジアのレベルが年々上がる中、日本の総合力を発揮した。新型コロナウイルスの影響で2次予選が長期にわたって中断された2020年には、感染対策に努めながら、欧州組のみでオランダ、オーストリア遠征を実施し、強化活動の停滞を防いだ。19年に完成した代表の練習拠点「JFA夢フィールド」(千葉市)は温浴施設なども備え、ホーム戦では選手の体を癒やした。日本協会、裏方を含め一丸となって戦った。 選手もオマーン戦の「教訓」を生かした。海外組は平時からJリーグ勢のプレー映像をチェックし、連係がスムーズになるように苦心。昨年10月のオーストラリア戦から破竹の6連勝につなげた。 昨年11月のベトナム戦の前には欧州組の主力が移動途中のロシアで足止めを食らうトラブルがあり、今年1、2月のホーム連戦は守備の要の吉田と冨安が不在。24日のオーストラリア戦も大迫らを欠いたが、苦境に直面してもはね返した。「この予選は毎試合が大一番だった」と森保監督。 予選が本番の1年前に終わった前回までと異なり、腰を据えて強化の時間が取れないが、東京五輪世代が台頭するなど真剣勝負を通じてチームを底上げできた意義は大きい。創意工夫で厳しい戦いを乗り越えた経験を糧に、ドーハで花開けるか。(シドニー時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕豪州戦の後半、先制ゴールを喜ぶ日本の選手=24日、シドニー