約2分の熱戦に館内が大きく沸く。自身の攻めを貫き、相手に音を上げさせるような形で勝ち切った。三役として初めて給金を直した新関脇の若隆景は「しっかり我慢して、下からという意識だけだった」。貴重な白星を淡々と振り返った。 自分より70キロ以上も重い逸ノ城に対し、右を深く差して頭をつけた。動きが止まる中、巨漢を左からおっつける。こらえ切れずに上体が起きたところを逃さず、一気に寄り切った。 常に心掛けている「下からの攻め」を体現する内容に、「しっかり自分の相撲に集中できている」と自信を口にする。新小結だった昨年の名古屋場所では5勝10敗とはね返され、「実力が足りなかった」と実感。決して大きくはない体で、前に出る力を地道に磨いてきた。 10日目には阿炎との新関脇同士の一番が組まれ、その後は大関陣との対戦が待ち構える。高まってきた周囲の期待をよそに「一日一番、しっかり自分の相撲を取りたい」。地に足を着け、己を見失うことなく戦い続ける。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕若隆景(右)は逸ノ城を寄り切りで下す=21日、エディオンアリーナ大阪