阿炎の気力が充実している。不祥事もあって遠ざかった三役の地位に、約2年ぶりに新関脇として復帰。勢いに乗って小結に昇進した時とは「気持ちの部分で違うようにしないといけない」。そう心に決めて臨んだ大阪の土俵で、高い集中力を保っている。 宇良との一番は、立ち合いがやや合わなかった。攻め切れず、潜り込まれたものの、冷静だった。上手投げで相手をはわせ、連敗はせずに5勝目。「集中していたので対応できた」。納得の表情を浮かべた。 理想は速攻相撲。スピードを磨き、突き押しで誰にも負けない取り口を目標に掲げているが、「今はその日の一番に対して、集中しているかどうかで考えている」という。この日のように引いて白星をつかんでも、充実感がある。地に足が着いていることを実感しているのだろう。「これを続けていければいい」と、力強く言い切った。 照ノ富士の休場で横綱不在となり、三役として求められるものは大きくなった。期待は承知しつつ、「今は自分のことで精いっぱい。星勘定とか、番付のこととかは考えていない」。己と向き合い続けてきた27歳は無心に戦う。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕阿炎(左)は宇良を上手投げで下す=19日、エディオンアリーナ大阪