普段は車いすで生活しているアルペンスキー女子の神山則子(49)=テス・エンジニアリング=が、北京パラリンピックでは立って滑る立位で出場している。急斜面の難コースに臆することなく、全力で挑んでいる。 24歳で患った膠原(こうげん)病の影響で、左半身にまひが出始めた。転機となったのは、1998年の長野パラリンピック。義足の選手が豪快に滑る姿に衝撃を受けた。「自分にもできるかな」。42歳の時にはがんを発症し、手術後に左足が動かなくなったが、それでもパラリンピックへの道は諦めなかった。 ストックは右手に1本。自由が利かない左手は腰のベルトに引っ掛けて固定し、バランスを取るために左肘を利用する。左へのターンは踏ん張り切れずに苦手となるが、水泳などで鍛えた体幹も使って斜面を滑り降りていく。 柔らかい物腰からは意外だが、技術系より高速系を好む。パラリンピックのデビュー戦となった5日の滑降では8位に入り、「すごく楽しかった」と笑った。 北京パラは全5種目に出場。「障害も病気も、年齢もそう。同じ経験をしている人が私の滑っている姿を見て、前向きになってもらえたら」。困難に立ち向かう勇気を、北京から届ける。(時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕アルペンスキー女子大回転立位、神山則子の滑り=11日、延慶