青と紫の派手な髪をコースにたなびかせる。北京パラリンピックのアルペンスキー女子立位に出場している本堂杏実(25)=コーセー=が、ラグビー経験から得た勝負根性で果敢に挑んでいる。 2度目のパラリンピックは「攻めずに悔いを残すよりも、コースアウトしてもいいから攻める」。最初の滑降は急斜面を恐れずぐんぐんスピードに乗って6位入賞を果たし、2種目目のスーパー大回転は8位。持ち味の豪快な滑りで、転倒者が相次ぐコースでいずれも最高時速をマークした。 生まれつき左手の指がない。父の影響で5歳からラグビーを始め、女子日本代表にも憧れるなどスポーツが好きだった。日体大在学中に大学関係者の勧めでパラリンピアンを目指すことに。ラグビーで培った足腰と度胸は「スピードへの恐怖心がなく、頭のねじがぶっ飛んだような思い切りのいい滑り」につながっている。着実に力を伸ばし、2019年世界選手権の滑降で3位に入った。 明るく前向きな性格で、日本選手団のムードメーカー的存在。昨年1月に左膝前十字靱帯(じんたい)断裂の大けがをしたが、不屈の闘志で復活を果たした。「苦しい時間を過ごしてきた。その気持ちをぶつける」。最後まで全力を尽くす。(時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕アルペンスキー女子スーパー複合立位、前半のスーパー大回転を滑る本堂杏実=7日、延慶