20日に神戸市で行われた陸上の日本選手権20キロ競歩で、女子の日本記録を持つ岡田久美子(30)が2年ぶり7度目の優勝を遂げた。五輪に2度出場したエースは昨秋、競技環境が一変。そこからの第一歩を踏み出し、再び世界にチャレンジする。 昨夏の東京五輪は15位。日本勢初の入賞ラインに30秒ほど届かず、悔しさを味わった。「やり切ったという気持ちと、まだやれるんじゃないかという思い。そのはざまで難しい心境だった」。揺れていた胸中を明かす。 その後、大きな転機があった。昨年10月、男子の競歩で活躍した森岡紘一朗さん(36)と結婚。11月には約7年半所属したビックカメラを離れた。「悔しい思いや一人でつらかったことが、軽くなった。もう一度、時間をかけて強くなれたら」。心の重しが取れて、楽な気持ちになれた。 森岡さんは五輪に3度、世界選手権に5度出場。昨年9月の大会を最後に引退し、今は富士通でコーチを務めている。競歩王国となった男子の地盤を築いた一人だ。岡田も「いろいろな経験や挫折の乗り越え方を教えてもらい、励みになっている」と感謝を口にする。 練習拠点を東京から千葉に移した。起伏の多いコースで脚をつくるなど、今までにない練習に取り組んでいるという。今回の日本選手権20キロ競歩では強風の中、日本陸連が設定した世界選手権(7月、米オレゴン州)派遣設定記録のクリアはお預けになったが、世界陸上は直近の目標になる。「新しいことを積み重ねて、記録の更新や世界選手権で上位を目指すことを考えていけたら」。高みを見据え、挑み続ける。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕陸上の日本選手権20キロ競歩でリードする岡田久美子=2月20日、神戸市東灘区 〔写真説明〕2020年の日本選手権20キロ競歩を制して東京五輪代表に決まり、笑顔を見せる岡田久美子=20年2月16日、神戸市東灘区