熱戦が多くのドラマを生み出した冬のスポーツの祭典は、再三のトラブルに水を差された。 大会序盤はショートトラック。男子1000メートル準決勝で失格となった韓国の選手団は、地元中国に有利な判定が続いたと主張し、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴すると抗議した。 五輪で初めて行われたスキー・ジャンプ混合団体では、高梨沙羅(クラレ)を含む女子5選手がスーツの規定違反で失格となる異常事態に。検査の際、ワールドカップ(W杯)より規定が厳しく適用されたと訴える選手は多く、競技を運営した国際スキー連盟の責任者は「起こるべきではなかった。通常からチェックを厳しくするしかない」と主要国際大会での検査基準の統一を模索する。 スノーボード男子ハーフパイプでは、平野歩夢(TOKIOインカラミ)の高難度の技に対する得点が低く、他チームからもブーイングが起こった。平野は直後に高得点を出して金メダルに輝いたものの、その後、採点基準への疑問を口にした。 世界に衝撃が走ったのは、フィギュアスケート女子で金メダル候補のドーピング問題。昨年12月の検査で、15歳のカミラ・ワリエワ(ロシア・オリンピック委員会=ROC)の検体から禁止薬物トリメタジジンが検出されたことが分かった。 ワリエワは問題の発覚前に行われた団体に出場し、ROCが優勝。国際オリンピック委員会(IOC)の方針でメダル授与式は行われず、3位の日本選手も受け取れていない。 CASはワリエワの出場継続を認める裁定を下したが、個人種目はミスが続いて4位に。ドーピング違反が確定した場合、ROCの団体金メダルが剥奪される可能性は高い。 未成年者であるワリエワが感じた重圧は計り知れない。国際大会出場を認める年齢を17歳に引き上げる国際スケート連盟の提案が報じられるなど、波紋が広がっている。(時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕フィギュアスケート女子フリーを終えたロシア・オリンピック委員会(ROC)のカミラ・ワリエワ(中央)=17日、中国・北京