男子1000メートルの21歳、森重は自らのタイムを見ると、表情を曇らせた。1分9秒47は、昨年末に長野市で出した自己ベストよりも1秒近く遅い。最終順位は日本勢最高だったものの、16位にとどまり「足に限界が来てしまった」と悔やんだ。 200メートル通過後の1周は25秒05で回ったが、ラスト1周のラップはそこから3秒余り落とした。「前半飛ばしていたというのもあるが、リンクが思ったよりも重く感じた」。ペース配分をつかめなかったのも、まだ経験が浅いから。発展途上の証しだ。 五輪初出場。巧みなカーブワークを持ち味に、500メートルで銅メダルを獲得し、「世界と戦える自信が付いていた」。これが日本男子にとって、3大会ぶりの表彰台。目覚ましい活躍を見せる女子に続いて明るい話題を提供した。 ワールドカップ転戦も今季が初めて。五輪では「もっと緊張するかなと思ったが、伸び伸びと滑れた」と思えたほど心のゆとりがあっただけに、4年後が楽しみな一人だ。 新鋭は「ここからが勝負。また伸ばしていくのは楽な道のりではないと思うが、頑張りたい」。自分の立ち位置を冷静に見詰め、謙虚に競技と向き合っていけば、さらに明るい未来が待っていそうな予感がある。(時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕スピードスケート男子1000メートルで滑走する森重航(手前)=18日、北京 〔写真説明〕スピードスケート男子1000メートルで滑走する森重航=18日、北京