高木美帆選手は今大会で一番良い滑りでした。プレッシャーを感じている雰囲気もあった1500メートルでは動きが硬い印象でしたが、きょうは全然違った。スタートから「金を取った」と思ったくらいでした。彼女のすごいところは、疲労がないはずがないのに、それを見せない強さ。よく最後まで滑り抜きました。アスリートとしてかっこいい姿を見せてもらいました。美帆を目指す子どもたちも目に焼き付けたと思います。 平昌五輪後は500メートル、1000メートルを滑る機会を増やし、タイムを伸ばす中で500メートルの体の使い方を習得しているようでした。それが1000メートル、1500メートルにも生きてくるもの。持ち味のラップを落とさない効率の良い滑りとかみ合い、トップスピードの維持ができたから、スプリント種目でも結果を残せるようになりました。 小平奈緒選手は、500メートルで思うような結果が出ず、ショックを受けているように見えましたが、応援してくれる人のために、自分の滑りを表現したと思います。右足首のけががあっても、それを全うしたと思います。 スピードスケートはタイムを競って勝つか、負けるかという競技ですが、奈緒さんはそう単純ではないと考えさせてくれる方。平昌五輪の2年前から勝ち続ける立場として見られているからこそ、滑ることの意味を見詰め直させてくれます。 ◇菊池彩花さんの略歴 菊池 彩花さん(きくち・あやか)長野・佐久長聖高出。橋本聖子さん、岡崎朋美さんらと同じ富士急に所属し、2度目の五輪出場となった18年平昌大会の女子団体追い抜きで金メダルを獲得。引退後は富士急コーチとナショナルチームのアシスタントコーチに就任。妹の悠希と純礼はショートトラック北京五輪代表。夫は10年バンクーバー五輪500メートル銀メダリストでショートトラックのナショナルヘッドコーチ、長島圭一郎氏。34歳。長野県出身。(時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕2018年平昌五輪女子団体追い抜き金メダリストで、現在は日本ナショナルチーム・アシスタントコーチと富士急コーチを務める菊池彩花さん(本人提供) 〔写真説明〕スピードスケート女子1000メートルで滑走する高木美帆=17日、北京