強豪復活を目指すJ1、G大阪は片野坂知宏新監督を迎えた。昨季まで大分を率いた50歳は、4人の名将の下でコーチを務めた経験を持つ。「それぞれの良さを取り入れながら、自分らしい監督像をつくった」と振り返る。 その4人とは、前日本代表監督の西野朗氏、J1札幌監督のペトロビッチ氏、日本代表を率いる森保一氏、今季からJ1名古屋を指揮する長谷川健太氏。いずれもJリーグ、日本サッカー界を代表する指導者だ。 片野坂氏が2007年にコーチとなったのがG大阪。当時監督の西野氏の「選手、スタッフを含め、常に情報を得て、見ていた」という姿から、チームを管理するすべを学んだ。 大分の躍進を支えたのが自陣からパスをつなぐ戦術と、チームに一体感を生むコミュニケーション術。広島時代に前者はペトロビッチ氏、後者は森保氏が良き手本となった。14年に復帰したG大阪では、長谷川氏が時に厳しい態度で選手に接していた。それが成長を促し、国内3冠達成につながったと実感した。 大分がJ3に降格した16年に監督就任。コーチとして得た学びに、「人間味」を独自に色づけ。「自分が感じたものを伝える。計算高くしても僕らしくない」。喜怒哀楽を素直に表現し、人前で涙を流すこともはばからない。求心力を生んだ。 昇格を重ねて昨季までの3年間をJ1で戦い、昨年末に天皇杯準優勝。「(大分での)6年間が成長につながるし、次のステップでも経験を生かしていかないといけない」。培った手腕を発揮し、古巣の再建に取りかかる。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕昨季の天皇杯サッカー準決勝、川崎戦で指示を出す大分監督時代の片野坂知宏氏=2021年12月12日、等々力陸上競技場