フィギュアスケート女子では近年、ロシア勢が突き抜けている。渦中のカミラ・ワリエワ、昨季世界選手権女王のアンナ・シェルバコワ、3位のアレクサンドラ・トルソワの北京五輪代表はいずれも4回転ジャンプを跳ぶ。五輪の女子で初めて表彰台を独占するとの見方もある。代表から漏れても、出ればメダル候補の選手もいる。 世界選手権は直近6大会のうち5大会を制した。隆盛を誇るようになった契機は自国での五輪開催。ロシアは2014年ソチ五輪まで女子だけ金メダルがなく、より強固な強化体制を築いた。 ソチではアデリナ・ソトニコワが金。初代王座に就いた団体では、ユリア・リプニツカヤが大活躍した。国主導のドーピング違反が顕在化してロシア勢が個人資格で出場した18年平昌五輪は、シニア1季目だったアリーナ・ザギトワが当時の世界女王エフゲニア・メドベージェワとの争いを制して金メダルに輝いた。 今季が本格的なシニアデビューのワリエワは世界歴代最高得点を次々と塗り替え、北京五輪金メダルが本命視される。ジャンプだけでなく、柔軟性を生かしたスピン、15歳と思えない表現力も持っている。ある関係者は「これまでに見たことがないくらいの能力の高さ。興味は(優勝争いではなく)ワリエワが何点を出すか」と話していた。 昨年12月のドーピング検査で陽性反応が出ていても、ワリエワの個人種目出場が認められた。疑念は北京での成果にとどまらず、ロシア栄光の系譜にまで及んでも仕方がない。(時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕フィギュアスケート女子のワリエワ(左手前)とトゥトベリゼ・コーチ(右から2人目)=12日、北京