【ニューヨーク時事】北京五輪フリースタイルスキーの新種目、女子ビッグエアで初代女王となった中国代表の谷愛凌は、ハーフパイプとスロープスタイルでも金メダル候補の筆頭に挙げられる。大手スポンサーと契約し、モデルとしても活動する18歳。開催国で絶大な人気を誇る一方、生まれ育った米国との間では複雑な立場ものぞく。 サンフランシスコ出身。2019年にスロープスタイルでワールドカップ(W杯)初勝利を挙げた後、母が生まれた中国の国籍を取得した。21年世界選手権ではハーフパイプとスロープスタイルの2冠。学業にも優れ、五輪後は名門スタンフォード大進学が決まっている。 華やかな活躍が注目を浴びる一方で、「外交ボイコット」を展開し、大会に厳しい目を向ける米国では批判の的にもなった。多くの広告や雑誌の表紙に登場しながら、中国の人権問題や自身の二重国籍疑惑には口を閉ざす谷を、メディアは「経済的利益を優先し、中国に政治的に利用されている」と非難。本人は「スポーツは団結するものであり、人を分断させるものではない」と繰り返している。 記者会見では流ちょうな中国語を披露し、自身の役割を「女性にウインタースポーツを始めてもらうきっかけになること」と話す。緊張が続く2カ国の間で、大会の「顔」への注目はますます高まっている。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕フリースタイルスキー女子ビッグエアで金メダルを獲得した中国代表の谷愛凌=8日、北京(EPA時事)