【北京時事】北京五輪でメダル量産が期待されるスピードスケート。前回の平昌五輪女子団体追い抜き金メダリストで、現在は日本ナショナルチームアシスタントコーチと富士急コーチを務める菊池彩花さん(34)が大会を展望する。 男女ともに歴代最強クラスの選手がそろいました。まずは女子の高木美帆選手。足で氷を捉えるのがうまいから、他の選手に比べて加速にかけられる時間が長くなります。体の使い方も非常にうまいので、効率よく加速させる技術にもたけています。日本で一番多い5種目に出場しますが、どれもメダルを狙える位置にいます。 小平奈緒選手は、平昌の2シーズン前くらいから世界で圧倒的な強さで勝ち続けてきた方。強いからこその大変さ、プレッシャーはずっと持っていたと思う。昨シーズンは股関節のけがもあったとうかがっており、すごく苦しい時期を過ごしてこられたと思うが、今回も奈緒さんらしい滑りの表現をしてほしいです。 高木菜那選手は膝のけがなどに悩まされた4年前と違い、充実したトレーニングを積めました。佐藤綾乃選手は、高木姉妹と共に練習してきたことで滑りに安定感が増しています。 高木姉妹と佐藤選手が軸となる団体追い抜きは先頭交代の回数がポイントになるでしょう。各国にとって大きな減速要因になっていたため、頻度が減ればスピード維持につながります。 日本も今季のワールドカップ(W杯)で、交代回数を3回だった平昌五輪よりも少ない1回にするパターンを試しました。先頭に出る時間が長くなれば体力を消耗する側面もある中でどう組み立てるかに注目してください。 男子は500メートルの3人が楽しみです。新浜立也選手はストライドの大きさを生かしてつくったスピードを殺さずにうまくカーブを抜けられれば、ダイナミックな滑りが好タイムに結び付くでしょう。村上右磨選手は持ち味の最初の100メートルだけでなく、最近はカーブの加速がいい印象。森重航選手は敏しょう性が高い。本番でも細かい足さばきをカーブで披露し、スムーズに加速できれば期待を持てそうです。 ◇菊池彩花さんの略歴 菊池 彩花さん(きくち・あやか)長野・佐久長聖高出。橋本聖子さん、岡崎朋美さんらと同じ富士急に所属し、2度目の五輪出場となった18年平昌大会の団体追い抜きで金メダルを獲得。引退後は富士急コーチとナショナルチームのアシスタントコーチに就任。妹の悠希と純礼はショートトラック北京五輪代表。夫は10年バンクーバー五輪500メートル銀メダリストでショートトラックのナショナルヘッドコーチ、長島圭一郎氏。34歳。長野県出身。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕平昌五輪で歓声に応える菊池彩花さん=2018年2月21日、韓国・江陵 〔写真説明〕平昌五輪で女子団体追い抜きの金メダルを首にかける菊池彩花さん=2018年2月22日、韓国・平昌(EPA時事)