前回平昌五輪と同様、団体で男子SPを任された宇野。前日に現地初練習を終えた後は「どうなるか分からない」と苦笑いで話していた。それがうそのような会心の演技。自己ベストを1点余り更新して2位で先陣を切り、初メダルを狙う日本チームに勢いを与えた。  大会直前になって一つの試練を突き付けられた。ステファン・ランビエル・コーチがスイスからの渡航前に新型コロナウイルス検査で陽性判定を受け、団体に間に合わなかった。いつも試合で激励してくれるコーチがいない。不安はないが、疑問はあった。「試合という感覚に切り替わるのが遅いのではないか」  だが、そこは経験豊富な平昌五輪銀メダリスト。4回転フリップはきっちり決め、課題にしていた連続トーループは、4回転からしっかり3回転へつなげた。トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)も危なげなかった。  「選手は一つの大会に向けて最善を尽くして努力し、より良い演技をしようとしている。コーチもそれは一緒。選手が試合に出られないのと同じくらい、本人は悔しい気持ちがあると思う」と話していた。個人種目を前に、師の無念を一つ晴らす演技にもなった。(時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕フィギュアスケート団体、男子SPで演技を終え、ガッツポーズする宇野昌磨=4日、北京 〔写真説明〕フィギュアスケート団体、男子SPで演技する宇野昌磨=4日、北京
情報提供元: 時事通信社
記事名:「 まず乗り越えた試練=宇野、コーチ不在も自己新〔五輪・フィギュア〕