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冨田:創業からこれまでの事業の変遷についてお伺いしたいと思います。
KeePer技研株式会社 代表取締役社長・賀来 聡介氏(以下、社名・氏名略):
当社は38年前に創業者の谷がガソリンスタンド1店舗からスタートした会社です。大きなターニングポイントとしては、2店舗目のガソリンスタンドを開業しようとした際、総量規制のためにガソリンを売ることができず、代わりに得意なコーティングと洗車のサービスを提供し始めたことです。もしガソリンが売れていたら、この事業は生まれていなかったかもしれません。
冨田:なるほど、それが事業のスタートでしたか。その後どのように展開していったのですか?
賀来:その後、コーティングと洗車のサービスの方が忙しくなり、最終的にはガソリン販売をやめ、コーティングと洗車の専門店として事業を展開していくことになりました。その当時はまだ現在のKeePer LABOのかたちではなく、純粋に洗車や快洗隊(車のコーティング・磨きを提供する店舗)を提供するといったビジネスモデルでした。
そこから徐々に、直営店舗を増やしたり、当社の施工店(ガソリンスタンドなど)でKeePerの材料を販売するようになりました。それが現在のKeePer PRO SHOPで、約6500店舗が存在しています。その店舗拡大の際、Keeperの洗車やコーティング技術を認定する資格制度を作ることになり、2級資格と1級資格が設けられました。1級資格を取得すると、KeePer PRO SHOPで技術認定店として認められるようになる仕組みです。これがユーザーにも受け入れられ、関係者にも好評でした。加えて、石油の元売りの各社からも当社指定の研修を受けることが推奨されました。ENEOSKeePerやコスモKeePer、出光KeePerという形で当社の技術を各社で純正採用していただいたことが爆発的な普及のきっかけでした。
冨田:その後上場されたという流れでしょうか。
賀来:はい、上場の目的は主に人材採用とスムーズにKeePer LABOの用地開拓をするためでした。実は、直営店舗を拡大していきたいという思いを持ちつつも、コーティングと洗車屋に土地を貸すという地主は正直あまりいません。それが上場することによって、一般的に認められる会社になり、用地開拓が進んだり、人の採用が改善されました。
そして、コロナ禍で清潔な車に乗りたいという需要が増えたり、半導体不足で車の製造が滞り、今乗っている車をきれいにしたいという需要も増えたことや、SNSでの拡散に注力することで事業が拡大していきました。
冨田:経営判断において、どのような点を最重視して意思決定が行われていますか?
賀来:全てお客様目線で考えることです。私たちはコーティング材料や洗車材料を作るメーカーではありますが、本当の仕事はお客様の思考を理解し、喜ばれるものや嫌われるものを見極めていくことです。
冨田:エンドユーザーやヘビーユーザーの指示が支えになって、全体の相乗効果が生まれているということですね。
賀来:はい、そうですね。どういうものが売れて、どういうものが売れないかという数字を見た上で、様々なものを展開していきます。
冨田:なるほど。社長は現場を大切にされていて、今でもご自身が現場で働いていると聞きましたが、お客様は気づかれていますか?
賀来:いえ、お客様は気づかないでしょうね。私たちは現場で施工ができることが強みなので、だからこそ現場と同じ目線でいろんなものが聞けるし、話せるのでユーザーの声も引き出せると考えています。
冨田:やはり現場の力が会社を支えているんですね。
賀来:そうですね。やはり実際に動いているのは現場の方たちであり、私たち経営陣というのはあくまでそれを支えているだけです。そのため、当社の組織は逆ピラミッド構造になっています。
冨田:徹底された現場主義が伝わってきますね。
賀来:今後の未来については、お客様のニーズに応え続けることが大切です。私たちが提供する商品やサービスが、常にお客様に喜ばれるものであるよう、努力を続けていきたいと考えています。
冨田:これから未来に向けて、どのような未来の構想を持っておられますか?また、会社としてどのようなテーマにご関心がありますか。
賀来:現在、直営のKeePer LABOの店舗は約120店舗ありますが、需要と供給のバランスで言うと、まだ全然足りていません。そのため、まずは日本で直営店舗を増やすことが大きな方針です。車を買うことは回数が限られていますが、綺麗にするという行為は継続して行うことだと思います。当社は車の美容院のようなものですから、お客様が一度ファンになっていただければ、よく「こんな店が欲しかった」と仰ってリピートしていただけます。世の中にはまだまだこういった店が足りていないと思います。
また、海外も視野に入れています。このビジネスモデルはまだ日本でしか大きくなっていないのですが、去年台湾を訪問した際に、すでにキーパープロショップというコーティング専門店があり、日本と負けないような売り上げを上げていることを目の当たりにし、海外でも十分通用すると感じました。そのため今後、海外で展開することや、家や電車など車以外のものにも広げていきたいと考えています。
冨田:なるほど、それらを実現することで、みんなが幸せになれるわけですね。環境にも貢献しているということですか。
賀来:そうです。コーティングをすることで、洗車回数が減り、環境にも貢献しています。
冨田:素晴らしいですね。
冨田:最後に、ユーザーの方々に一言いただけたらと思います。
賀来:ここ最近、KeePer製品が普及してきていますが、まだ使ったことがない方がほとんどだと思います。ですが、一度使っていただければ、早く買わなかったことを後悔するほど良かったと感じていただけると思います。これからも当社の製品や活動にご注目いただければ幸いです。