次代を担う成長企業の経営者は、ピンチとチャンスが混在する大変化時代のどこにビジネスチャンスを見出し、どのように立ち向かってきたのか。本特集ではZUU online総編集長・冨田和成が成長企業経営者と対談を行い、その経営戦略に迫る。今回はKeePer技研株式会社の賀来代表に話を伺った。




(画像=KeePer技研株式会社)






賀来 聡介(かく としゆき)――代表取締役社長 兼 Co-COO


1971年5月東京都生まれ。プロのバイクレーサー引退後、2006年11月アイタック技研(現KeePer技研)に入社。2009年1月取締役に就任後、2011年7月常務取締役就任、取締役副社長を経て2019年2月より代表取締役社長(現任)。








KeePer技研株式会社



KeePer技研は、全国のガソリンスタンドを中心としたカーアフターマーケットに、キーパーコーティングのためのケミカルをはじめ、道具、機械類の開発・製造、販売を行うキーパー製品等関連事業により、コーティング施工技術を各種の研修会を通じて普及。直営店として一般消費者にサービスを直接提供する「カーコーティングと洗車の専門店」の「キーパーLABO」事業を運営。近年、新車マーケットにおいてもカーディーラー等で新車時コーティングの導入を拡大中。







ガソリンスタンドからコーティングと洗車専門店への大転換


冨田:創業からこれまでの事業の変遷についてお伺いしたいと思います。


KeePer技研株式会社 代表取締役社長・賀来 聡介氏(以下、社名・氏名略)
当社は38年前に創業者の谷がガソリンスタンド1店舗からスタートした会社です。大きなターニングポイントとしては、2店舗目のガソリンスタンドを開業しようとした際、総量規制のためにガソリンを売ることができず、代わりに得意なコーティングと洗車のサービスを提供し始めたことです。もしガソリンが売れていたら、この事業は生まれていなかったかもしれません。


冨田:なるほど、それが事業のスタートでしたか。その後どのように展開していったのですか?


賀来:その後、コーティングと洗車のサービスの方が忙しくなり、最終的にはガソリン販売をやめ、コーティングと洗車の専門店として事業を展開していくことになりました。その当時はまだ現在のKeePer LABOのかたちではなく、純粋に洗車や快洗隊(車のコーティング・磨きを提供する店舗)を提供するといったビジネスモデルでした。


そこから徐々に、直営店舗を増やしたり、当社の施工店(ガソリンスタンドなど)でKeePerの材料を販売するようになりました。それが現在のKeePer PRO SHOPで、約6500店舗が存在しています。その店舗拡大の際、Keeperの洗車やコーティング技術を認定する資格制度を作ることになり、2級資格と1級資格が設けられました。1級資格を取得すると、KeePer PRO SHOPで技術認定店として認められるようになる仕組みです。これがユーザーにも受け入れられ、関係者にも好評でした。加えて、石油の元売りの各社からも当社指定の研修を受けることが推奨されました。ENEOSKeePerやコスモKeePer、出光KeePerという形で当社の技術を各社で純正採用していただいたことが爆発的な普及のきっかけでした。


冨田:その後上場されたという流れでしょうか。


賀来:はい、上場の目的は主に人材採用とスムーズにKeePer LABOの用地開拓をするためでした。実は、直営店舗を拡大していきたいという思いを持ちつつも、コーティングと洗車屋に土地を貸すという地主は正直あまりいません。それが上場することによって、一般的に認められる会社になり、用地開拓が進んだり、人の採用が改善されました。


そして、コロナ禍で清潔な車に乗りたいという需要が増えたり、半導体不足で車の製造が滞り、今乗っている車をきれいにしたいという需要も増えたことや、SNSでの拡散に注力することで事業が拡大していきました。


お客様目線の判断と現場を重視した経営


冨田:経営判断において、どのような点を最重視して意思決定が行われていますか?


賀来全てお客様目線で考えることです。私たちはコーティング材料や洗車材料を作るメーカーではありますが、本当の仕事はお客様の思考を理解し、喜ばれるものや嫌われるものを見極めていくことです。


冨田:エンドユーザーやヘビーユーザーの指示が支えになって、全体の相乗効果が生まれているということですね。


賀来:はい、そうですね。どういうものが売れて、どういうものが売れないかという数字を見た上で、様々なものを展開していきます。


冨田:なるほど。社長は現場を大切にされていて、今でもご自身が現場で働いていると聞きましたが、お客様は気づかれていますか?


賀来:いえ、お客様は気づかないでしょうね。私たちは現場で施工ができることが強みなので、だからこそ現場と同じ目線でいろんなものが聞けるし、話せるのでユーザーの声も引き出せると考えています。


冨田:やはり現場の力が会社を支えているんですね。


賀来:そうですね。やはり実際に動いているのは現場の方たちであり、私たち経営陣というのはあくまでそれを支えているだけです。そのため、当社の組織は逆ピラミッド構造になっています。


冨田:徹底された現場主義が伝わってきますね。


賀来:今後の未来については、お客様のニーズに応え続けることが大切です。私たちが提供する商品やサービスが、常にお客様に喜ばれるものであるよう、努力を続けていきたいと考えています。


車の美容院が思い描く海外展開


冨田:これから未来に向けて、どのような未来の構想を持っておられますか?また、会社としてどのようなテーマにご関心がありますか。


賀来:現在、直営のKeePer LABOの店舗は約120店舗ありますが、需要と供給のバランスで言うと、まだ全然足りていません。そのため、まずは日本で直営店舗を増やすことが大きな方針です。車を買うことは回数が限られていますが、綺麗にするという行為は継続して行うことだと思います。当社は車の美容院のようなものですから、お客様が一度ファンになっていただければ、よく「こんな店が欲しかった」と仰ってリピートしていただけます。世の中にはまだまだこういった店が足りていないと思います。


また、海外も視野に入れています。このビジネスモデルはまだ日本でしか大きくなっていないのですが、去年台湾を訪問した際に、すでにキーパープロショップというコーティング専門店があり、日本と負けないような売り上げを上げていることを目の当たりにし、海外でも十分通用すると感じました。そのため今後、海外で展開することや、家や電車など車以外のものにも広げていきたいと考えています。


冨田:なるほど、それらを実現することで、みんなが幸せになれるわけですね。環境にも貢献しているということですか。


賀来:そうです。コーティングをすることで、洗車回数が減り、環境にも貢献しています。


冨田:素晴らしいですね。


KeePer技研賀来代表からZUU onlineユーザーへ一言


冨田:最後に、ユーザーの方々に一言いただけたらと思います。


賀来:ここ最近、KeePer製品が普及してきていますが、まだ使ったことがない方がほとんどだと思います。ですが、一度使っていただければ、早く買わなかったことを後悔するほど良かったと感じていただけると思います。これからも当社の製品や活動にご注目いただければ幸いです。



氏名

賀来 聡介(かく としゆき)

社名

KeePer技研株式会社

役職

代表取締役社長 兼 Co-COO

情報提供元: NET MONEY
記事名:「 社長自身が現場で働き、お客様目線を第一に考えるーーKeePer技研株式会社