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コミュニケーション能力とは相手の言いたいことを過不足なく理解し、自分と相手との意思疎通を、速やかに成立させる能力を指します。
一見すると簡単なように思えますが、例えば人と会話しながら、相手の言いたいことを理解しつつ、それを受け止め、反対に自分の意とするところを伝えながら、相手の理解を得るのは、かなり大変な作業です。また、現在は働き方改革などでテレワークが普及し、メールやチャットでの連絡が増えています。
つまりコミュニケーション能力の向上は、通常の会話だけではなく、ネット上のやり取りの中で、自分の言いたいことを簡潔かつ確実に伝え、相手の理解を得るときにも役立つのです。
コミュニケーション能力には、いくつかの構成要素があり、下記の4つの要素は特に重要なものとされています。ここからは、具体例を交えながら、それぞれの要素について解説します。
伝達力とは、相手に自分の意思や意見を、意図した通りに伝えられる能力です。例えば、社内のプレゼンで、表やグラフを前に説明するときも、伝達力が高ければ、聞いている相手の理解がすぐに得られるため、提出した企画が通りやすくなります。
しかし、伝達力が低いと、相手に自分の意思や意見がうまく伝わらず、よい企画であっても、相手に納得してもらえない可能性が高くなります。
伝達力を高めるコツは、自分の説明が相手にどのように伝わればいいか、また、相手からどのような質問が予想され、どのように答えるかを「事前によく確かめる」ことです。
これは「想定問答」などとも呼ばれますが、それを一人で、あるいは友達と繰り返し行うことで、伝達力は少しずつ高まるでしょう。
自分の主張を抑えつつ、相手の話に耳を傾け、相手の言いたいことや伝えたいことを十分に聞き取りながら、相手への理解を深めていく力を、「傾聴力」と呼びます。
これは、心理学上のテクニックのひとつですが、相手は、異論を挟まず自分の話を聞いてくれた者に対して、親近感を覚えます。
逆に話を途中で遮って、自分の主張を押し通す傾向が強い場合は、相手から傾聴力が低いと判断され、信頼を得にくくなるでしょう。
要するに、腹の探り合いや上辺だけの会話ではなく、傾聴力により親密な関係性を最初に築くことで、相手の本音や真意を聞き出す「きっかけ」を、作ることができるのです。
傾聴力を高めるには、ただ黙って相手の話を聞いているのではなく、相手の身振り手振りや話し方によって「なるほど、そうですね」という相槌を打ち、真剣に話を聞く姿勢を、適度に保つことが大切です。
ビジネスにおける理解力とは、物事のありようを正確に理解し、適切に判断できる能力を指します。
理解力の高い人は、相手とのちょっとした会話の中から、相手がこれから何を話すのか、自分から何を知りたいのかを瞬時に推理して理解し、「先回り」して、その答えを用意できます。
対して、理解力の低い人は、上司からの単純な指示すら取り違え、業務上の失敗を重ねることが多く、人事評価も上がらなくなります。
理解力の高さは、論理的思考力(ロジカルシンキング)が大きく関係してます。論理的思考力とは、物事を筋道に沿って整理し、必要な部分だけを取り上げながら、理解できる能力のことです。
例えば、取引先の顧客は、営業社員に合わせて会話するのではなく「自分が話したいように話すこと」が多いため、主題とは無関係な話題を、勝手に持ち出すことも多くなります。
つまり、顧客との「分かりにくい会話」の中から、交渉に必要な要点だけを拾い出し、筋道に沿って整理し再構築できる能力、すなわち論理的思考力を鍛えることが、結果的に自分の理解力を高め、相手の同意を得ることに繋がるのです。
共感力とは、相手の意見や感情に寄り添い、自然に同意や共感ができる能力を指していて、共感力が高いと相手からの信頼を得やすくなります。
共感力の高さは、他人に対しての興味の強さや、物事に対しての好奇心が大きく関係しているため、共感力が高い人は、先に説明した傾聴力も高い場合が多いです。
つまり、この2つを備えることができれば、相手からの信頼を得やすく、説得がしやすくなるので、交渉を有利に進めることができ、さまざまなビジネスシーンで役立ちます。
共感力は、人生経験の中で磨かれることが多いため、仕事だけではなく、趣味やボランティア活動などを通じて、積極的に人生経験を積むことが、共感力を高めるきっかけになるでしょう。
コミュニケーション能力の強化は、実際の業務で「さまざまなメリット」を生み出します。ここでは実務上の大きなメリットを3つ厳選し、ビジネスに活用するための方法を紹介していきます。
コミュニケーション能力の高まりにより、周囲の人々との信頼が、より深まるため、業務上の不和や軋轢が少なくなり、人間関係を良好に保てるメリットが生まれます。
例えば、中間管理職の方が、理解力と傾聴力を強化すれば、それぞれの部下の適性や、得意分野を的確に見抜けるようになり、業績の向上と部下の信頼の両方を得られるでしょう。
また、一般社員であっても、伝達力や共感力に優れていれば、同僚との人間関係や、業務連絡が改善され、困難な仕事もスムーズに進められるはずです。
情報の交換や共有は、それを行う人間同士の関係が、良好な状態に保たれていないと、円滑に行うことは難しくなりがちです。内心で「嫌いだな」と思っている人に毎日会い、ネガティブな感情を抱きながら、一緒に業務をこなす日々を想像してみてください。
こういう状況では簡単な業務連絡すら、うまくいかなくなる恐れがあり、また程度の差こそあれ、このような職場の軋轢は、どこにでも存在しています。
しかし、自分のコミュニケーション能力が高ければ、嫌いな相手であっても、自分の望む方向へ交渉を展開させることができるので、仕事がやりやすくなります。
コミュニケーション能力が高い人は、職場内でごく自然に好意を持たれ、プライベートでも親しい友人が多くなる傾向にあります。
親しい同僚がたくさん居れば、自分の意見や企画が社内で通りやすくなり、対外的には取引先からの信頼を得やすくなるため、人事的な評価も高まるでしょう。
つまり、コミュニケーション能力が向上すれば、自分の人脈とも言える人々を、自然な形で増やせるようになり、より大きな力を発揮できる可能性が生まれるのです。
コミュニケーション能力を効果的に高める5つのコツを紹介します。
いくらコミュニケーション能力が高くても、その場にそぐわない服装だったり、不潔な身なりでは、会話している相手が不快になります。
そもそも、人と人との第一印象は「最初に会ったときに決まる」とも言われており、身だしなみを整えることは、コミュニケーション能力を高める最初の一歩なのです。
コミュニケーション能力が多少未熟であっても、身だしなみさえ整っていれば、初対面の人からは好印象を持たれることが多くなり、交渉を有利に進められる可能性があります。
身だしなみで一番重視すべきポイントは、清潔感です。ワイシャツの襟が黄ばんでいたり、爪の先が黒かったり、上着にフケが溜まっていたりしていないか、日ごろからチェックするようにしましょう。
結論から先に話す「アンサーファースト」を心がけることで、相手から「説明がわかりやすい方だな」と、好印象を持たれることが多くなります。
大事な商談などで、サービスの概要について顧客が質問しているのに、あなたが値引きの話ばかりをしていたら、その顧客はどう思うでしょうか?
つまり、いたずらに結論を先延ばしにして、期待感を持たせるような話し方は、回りくどく、わかりづらいという印象を、相手に与えてしまうのです。
対して、アンサーファーストを常に心がければ、自分の話が的確に伝わるようになり、相手からの返事も早くもらいやすいため、交渉時間の節約になります。
漫然と事実を並べた報告書を読むよりも、例え話を絡めたストーリー性のある報告書の方が、会話をする相手にとっては魅力的に聞こえるため、うまく行えば自分に対しての好感度を大きくアップできます。
例え話の最も重要なポイントは、聞いている相手が「一番喜ぶ表現方法」は、一体どのようなものか?を、常に考えながら作ることです。
これらは、年齢や性別、性格や考え方により違うことが多いため、一度失敗してもあきらめず、友人にも例え話を積極的に披露しながら、何度も挑戦してみましょう。
外国人は身振り手振りを交えて会話する方も多いですが、日本人は文化の違いなのか、口だけで話している人も少なくありません。
しかし、使うべきときに適度な身振り手振りを交えつつ会話するのは、相手の同意や注意を引き出す「きっかけ」になることがあり、使い方次第で、交渉を有利に進められる可能性があります。
例えば、自社製品の形状が丸ければ、両手で丸い形を作り、聞いてもらいたい特徴が3つある場合は、3本指を相手の前にかざしてから話す方が、説得力は上がります。
ただし、年配の人は相手の身振り手振りを嫌うことも多いため、最初に相手の身振り手振りをよく観察しつつ、それに自分も合わせる形で、適度に行う方がよいでしょう。
相手の話に相槌を打ったり、目線を反らしたり合わせたりするタイミングを、同じにすると、会話中の相手はその行為を行った者に対し「無意識な好意」を感じやすいとされています。
これは「ミラーリング効果」と呼ばれる心理学の手法のひとつですが、幅広くビジネスに応用できるため、訓練して実行すればコミュニケーション能力の向上に効果的です。
さらに、会話中の姿勢や表情、話のテンポを相手と合わせると、ミラーリング効果がより高まり、会話に説得力が増します。
相手と何かを交渉する際には、性急に、合意や結論を相手に求めるのではなく「まず合意できる部分」を相手と確認しながら話し合い、最終的な合意形成、つまり、お互いのメリットを作り出すほうが、交渉の成功率は高くなります。
このような交渉術を行うには、まず前提として、自分の現状や相手との関係性を再確認しながら、話し合う問題の順番を、あらかじめ決めておくことが大切です。
例えば、あなたが長期休暇を取りたいときは、上司に対し「10日間の休暇を下さい」と、いきなり言うよりも「いま何日間ぐらい休暇を取れそうですか?」と、ソフトに切り出すほうが、上司の感情を逆撫でせず、自分の願いも聞いてもらいやすくなります。
もちろん、忙しいときにこんな話は持ちかけず、手が空いて上司の機嫌がいいときを見計らって交渉を行えば、自分の考える「最大限の成果」を引き出せる可能性が高くなります。
コミュニケーション能力は多種多様であり、鍛えようによっては千変万化の「強力なビジネスツール」になるのは間違いありません。
またコミュニケーション能力は、さまざまなビジネススキルを鍛える上での土台となるものなので、コミュニケーション能力を鍛えることで、ビジネスパーソンとしての総合力アップにも効果が期待できます。
コミュニケーション能力を「ごく自然に引き出して活用」できるようになれば、この記事で紹介したように、さまざまなビジネスシーンでメリットが生まれ、日々の仕事が円滑に進められるようになるでしょう。