- 週間ランキング
(※1)経済活動の単位あたりに消費されるエネルギー量のこと。
(※2)炭素排出に価格付け、排出量に応じて金銭的負担を課す仕組みのこと。
ブラジル(12位)や中国(17位)、インド(63位)などの主要新興国においてもエネルギー転換への取り組みが加速しており、その成果がETIにも反映しています。
中国は引き続きクリーンエネルギー製造の主要プレーヤーです。国内における再生可能エネルギーの容量を大幅に拡大すると同時に、不安定な供給を補うためにスマートグリッド(※)の導入を進めるなど、技術開発・インフラ整備にも大規模な投資と支援政策を行っています。
ブラジルも再生可能エネルギーの割合を過去最高水準に増やしており、2023年には国内の電力の93%をクリーンエネルギーから発電しました。
(※)電力の供給側・需要側の双方から電力量をコントロールできる次世代送電網のこと。
一方で、クウェートなどのETIスコアの低い国においても、よりバランスの取れたエネルギーシステムへの移行が見られます。
ドイツ(11位)や米国(19位)、日本(26位)のように、移行期間にともない一時的にETIスコアの改善が鈍化した国も見られます。
ドイツは2023年4月に原子力を廃止し、太陽光発電と風力発電への移行を進めているものの、そのギャップを埋めるために石炭を使用しています。その結果、2022年の石炭ベースのエネルギー生産量は前年から35%増加し、炭素集約度が上昇しました。
日本はガス価格の変動に大きな影響を受けていることがエネルギー価格の不安性の要因となっている一方で、クリーン水素(※)への積極的な取り組みが高評価されています。実際には、2023年よりひとつ順位を上げ世界26位、G7 中5位となりました。米国も移行ペースは鈍化しているものの、過去3年間にわたり、ETIスコアが堅調に伸びています。
(※)環境に配慮した方法で製造された水素のこと。
ETI全体の平均スコアは過去最高を記録しました。しかし、エネルギー効率化やクリーンエネルギーの導入に顕著な進歩が見られる一方で、近年のエネルギー価格の高騰がエネルギー転換の勢いを抑制し、エネルギー安全保障が地政学的リスクにさらされている現状が浮き彫りになっています。
実際、成長ペースは過去3年間にわたり低迷しており、2023年と比較すると、83%の国でエネルギーシステムのパフォーマンスを示す3つの指標(安全性・公平性・持続可能性)のひとつ以上が低下しました。また、120カ国のうち107カ国が過去10年間で進歩を遂げているものの、スコアが10%増加したのは30カ国のみです。
WEFは、革新的ソリューションの実装と投資の拡大、大胆な政策改革の推進により、エネルギー変革の取り組みを強化するよう呼びかけています。
持続可能な未来に向けて、各国がそれぞれの地理的条件や経済状況を考慮した取り組みを進めています。様々な課題は残っていますが、先進国と発展途上国間のエネルギー転換の格差が縮小し続けている点はポジティブな潮流といえるでしょう。Wealth Roadでは、今後もクリーンエネルギーやサステナビリティ市場に関する動向をレポートします。
※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。
The post 日本は何位? 2024年版「最もエネルギー転換が進んでいる国ランキング」 first appeared on Wealth Road.