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(ここ数日、ボラティリティが大きく上昇しています。1 しかし、今後さらに上昇することが予想されます)
メディアは大統領選挙に焦点を当て、市場にとってもっと重要だと私が考えるもの、つまり米連邦準備制度理事会(FRB)から私たちの関心を遠ざけています。ここ数週間、米連邦公開市場委員会(FOMC)のさまざまな委員が、FRBは利下げを開始する自信を持ちつつあると発言しています。先週、クリストファー・ウォラーFRB理事は、FRBは「政策金利の引き下げが正当化される時期が近づいている」と語りました。4
来週7月30日と31日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが行われるとの見方は少ないものの、金曜日に発表される個人消費支出(PCE)報告を受けて、その可能性は高まるかもしれません。まだ可能性は低いものの、景気、特に労働市場に悪化の兆しが見られれば、FRBは7月に利下げを実施する可能性が高まると思います。もう1つのきっかけは、不確実性の高まりによる支出の減少かもしれません。先週発表された米連邦準備制度理事会(FRB)のベージュブックでは、大統領選挙、国内政策、地政学リスク、インフレをめぐる不確実性から、今後6ヵ月間の経済成長は鈍化するとの見通しが示されました。
先週行われたアドリアナ・クーグラーFRB理事の講演では、経済とインフレの状況を把握する上で、政府公式データを補完する民間データを利用することの重要性が強調されました。その理由として、民間部門データは政府公式データよりも速報性が高く、頻度が高いことを挙げています。同理事は、「経済の転換期を考える際には、政府以外の情報源による予測や予想結果の報告も考慮することが重要です。これには、将来のインフレ率、雇用や解雇の見込み、経済や経済動向に対する消費者や企業の心理に関する調査などが含まれます。」と説明しました。5 また、最近のデータについて議論する中で、同理事は住宅コストに関する公式統計を軽視しました。その理由は、公式統計はタイムリーではないからです(より最近の民間部門による住宅データでは、コストが下落していることが示されています)。
私はクーグラーFRB理事が、経済状態について民間を含むさまざまな情報源に目を向けることに関心を持たれていることを高く評価します。私も経済の健全性に関する情報を得るため、決算報告書に注目しています。私が消費者の健全性の指標と見なしている企業のひとつ、シンクロニー・ファイナンシャルが先週決算を発表しました。消費者の延滞率は大幅に上昇したものの、高所得者と低所得者の間には大きな差があり、後者は経済的圧力を感じているとのことでした。これは、まだ警鐘は鳴らされていませんが、米国経済に亀裂が入り始めており、FRBは早急に行動を起こす必要がある、という私の一般的な見解を裏付けるものです。
要するに、FRBは第3四半期末までに利下げに踏み切るだろうということです。
決算に関して話をすると、金曜日の時点でS&P500種構成企業の14%が第4四半期の決算を発表しています。そのうち80%の企業が業績予想を上回り、62%の企業が売上予想を上回りました。6
第2四半期の混合(実績と推定を組み合わせた)増益率は前年同期比9.7%と予想されていますが、この増益率の大部分を「マグニフィセント7」に含まれる4社が占めています。この4社を分析から除外した場合、予想増益率は前年比5.7%となります。6
私が見たいのは、収益成長に関して参加企業の幅が広がることであり、そうなればこのローテーションは持続可能なものになると思います。現在のアナリスト予想では、S&P500種構成企業のうち496社が第4四半期から2桁の増益を見込んでいることは朗報です。6
中国共産党の中央委員会第3回全体会議(3中全会)は、通常5年ごとに開催される重要なイベントで、先週終了しました。それに伴い、中国が技術革新の受け入れと改革の強化に重点を置くというメッセージが発表されました。また、中国人民銀行は昨年夏以来初めて短期政策金利を引き下げました。引き下げ幅はわずか10ベーシスポイントですが、これは政策当局が中国経済を支援する意思を示しています。こうした動きは中国株にとって追い風になると私は見ています。
来週発表される最も重要なデータは、PCEです。コアPCEはFRBが好んで使用するインフレ指標で、市場では予想よりも低い数値になるのではないかとみられています。仮にそうなれば、中小型株や景気循環株がさらに下支えされ、ドル安がわずかに進む可能性が高いです。
また今週は、カナダ中銀(BOC)が金融政策決定会合を開きます。BOCはすでに6月に利下げを開始しています。しかし、失業率の上昇や消費者の裁量的支出の減少が景気の弱含みを示していることから、今週も追加利下げが実施される可能性が高いと私は予想しています。
公表日 | 指標等 | 内容 |
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7月22日 | 中国プライムレート | ローンの基準金利として機能 |
7月23日 | 米中古住宅販売件数 | 住宅市場の健全性を示す |
ユーロ圏消費者信頼感(速報値) | ユーロ圏の消費者心理を示す | |
7月24日 | 日本製造業購買担当者景気指数 (速報値) | 製造業の経済の健全性示す指標 |
ユーロ圏製造業・サービス業購買 担当者景気指数(速報値) | 製造業とサービス業の経済の健全性を示す | |
英製造業・サービス業購買担当者 景気指数(速報値) | 製造業とサービス業の経済の健全性を示す | |
米製造業購買担当者景気指数 (速報値) | 製造業の経済の健全性を示す | |
カナダ中銀金融政策決定 | 金利の道筋に関する最新の決定を発表 | |
米新築住宅販売件数 | 住宅市場の健全性を示す | |
7月25日 | 米国耐久財受注 | 耐久財の新規受注額を追跡 |
ドイツ IFO景況指数 | ドイツの景況感を示す | |
アメリカ国内総生産 | 地域の経済活動を測定 | |
7月26日 | 日本景気先行指数 | 景気循環の重要な転換点を先行して示す |
米国PCE価格指数 | インフレの動向を示す | |
米国個人消費 | 消費者の全支出のインフレ調整後の 価値の変化を測定。 | |
米国個人所得 | 賃金、給与、社会保障、その他の政府給付、 配当、利子、事業所有、その他から得られる所得 | |
ミシガン大学消費者調査 | 米国の消費者心理とインフレ期待を評価 |
クリスティーナ フーパー
チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト
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