『世界屈指の資産運用会社インベスコが明かす世界株式「王道」投資術』より一部抜粋

(本記事は、インベスコ・アセット・マネジメント株式会社の著書『世界屈指の資産運用会社インベスコが明かす世界株式「王道」投資術』=ベストセラーズ、2023年5月29日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

今こそ、世界株式に投資する意義

日本に住むほとんどの人は、日本円を使って生活し、円建ての資産を中心に保有しています。しかし、デフレからインフレ時代に転換した2020年代、インベスコは資産形成について見直す重要性を伝えたいと思っています。

そこでぜひ注目していただきたい選択肢の1つが、世界株式への投資です。「世界」といっても、もちろん日本を含めて「世界」です。日本だけでなく、また米国や欧州など特定の地域に絞り込まず、様々な国・地域にリスクを分散しながら世界経済全体の成長による利益を取り込むことが長期的に安定した資産形成に役立つと考えています。

本章では、世界株式になぜ今、目を向けるべきなのか、また世界株式に〝アクティブ運用〞を掛け合わせる資産形成について見ていきます。

「企業に投資する」ということ

世界には、私たちの生活を支える数多くの企業が存在します。世界銀行のデータによると、その数は日本・米国・欧州などの先進国で2万1615社、さらにインドや中国などの新興国を含む全世界で4万3248社にものぼります(2019年時点)。

株式を通じて企業に投資をするということは、私たちが資産形成のためのリターンを得ることだけを意味するのではありません。企業が発行する株式を通じて、投資先の企業が成長するために必要な資金を提供することも意味します。そして、私たちは投資した持ち分に応じて、配当などの利益(インカム・ゲイン)を受け取る権利を得て、購入した株式の売却による値上がり益(キャピタル・ゲイン)を獲得する機会も得ることになります。このように株式投資は、株式を通じて「企業に投資する」ことで社会・経済の発展に貢献する活動とみることもできます。

株式投資には様々な方法があります。例えば、最も身近な日本企業の株式に絞って投資を行うことも選択肢の1つです。しかし、世界という〝より広いフィールド〞から投資先企業を探した方が、有望な企業に投資できる機会が格段に増えます。特定の国・地域に絞るとその国・地域の経済や政治・社会情勢などに大きく左右される可能性も高まるため、リスク分散の観点からも投資の範囲を世界に広げることは有効な手段といえます。

世界株式への投資を各地域、業種の代表企業から分析する

世界には、どのような企業があるのでしょうか。図表2‐1は、2022年12月末時点での世界各地域における、業種別の時価総額最大企業の一覧です。

『世界屈指の資産運用会社インベスコが明かす世界株式「王道」投資術』より

世界最大のEコマース企業である米国のアマゾン・ドット・コム、iPhoneでおなじみのアップル、世界最大のラグジュアリーブランド企業であるフランスのLVMH、世界最大級の食品・飲料メーカーであるスイスのネスレなど、私たちの日々の生活を豊かにしてくれる世界的な企業が並びます。

ここでは企業の規模とともに収益力にも着目しています。ROE(ReturnonEquity/自己資本利益率)とは企業の収益力を測る指標の1つで、企業が株主からの出資を受けた資金を使ってどれだけ効率的に利益を上げているかを示すものです。世界には、日本を代表する企業と比較しても、より高い収益力をもつ企業が存在します。世界に視野を広げることで、より有望な企業を発掘できる可能性が高まるといえるでしょう。

世界株式への投資によって得られるリターン

それでは実際に、世界に視野を広げて投資をすることでどのような収益が期待できるのかを見てみます。

まず、過去20年間のリターンを振り返ってみましょう。図表2‐2は2002年12月末からの20年間について、日本株式のみに投資した場合と、日本を含む世界株式に投資をした場合のリターンを比較しています。日本株式のみに投資をした場合でも3倍以上のリターンが実現していますが、世界株式は日本株式のみの場合のさらに約1.8倍のリターンとなっています。先ほど見た通り、世界には高い収益力を誇る企業が数多く存在していることもこの結果に影響している要因と考えられます。

『世界屈指の資産運用会社インベスコが明かす世界株式「王道」投資術』より

一方で、20年間ずっと投資し続けた人は確かにこのリターンを得られたかもしれませんが、投資を始めるタイミングは人によって違うので実現したリターンも人によってまちまちではないかと考える方もいるでしょう。この疑問に答えるため、図表2‐3(上)では、過去20年の株式市場において、世界株式に異なるタイミングで10年間投資した場合にどのようなリターンを得ることができたかをシミュレーションしました。

『世界屈指の資産運用会社インベスコが明かす世界株式「王道」投資術』より

結果は、この期間の様々なタイミングで10年間投資をすることで平均年率約9.5%のリターン(円換算ベース)を実現できたということになります。最も高い収益を得られた期間は2011年12月末から2021年12月末までの10年間で、約18.0%でした。逆に結果が最も低かったのは2006年10月末から2016年10月末までの10年間ですが、この場合でも約3.3%のプラスの収益を実現しています。

過去20年の世界経済は、リーマン・ショック(2008年)、チャイナ・ショック(2015年)、コロナ・ショック(2020年)など、様々な危機に見舞われています。どのタイミングで投資を始めてもプラスのリターンが得られるという結果を意外と思われる方もいるかもしれません。市場危機の都度、株式市場は一時的には大幅に下落するものの、投資を継続することで市場の回復を捉えることができ、結果としてプラスの収益を実現できました。これこそが、長期投資の重要性を物語る結果といえそうです。

図表2‐3(下)では、同様に日本株式で10年間投資したリターン(年率)を世界株式と比較しています。得られたリターンは平均で年率5.9%、最低水準となった2006年2月末から2016年2月末の期間のリターンはマイナスとなっています。この結果は、世界の企業に投資対象を広げることで、為替リスクはありますが、より広範な収益力を捉えることができるため、リスクを分散しながら資産の成長を実現することの証左といえるでしょう。

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<著者プロフィール>

インベスコ・アセット・マネジメント株式会社
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情報提供元: Wealth Road
記事名:「 円安が止まらない?今こそポートフォリオを見直して資産防衛しよう