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世界最大のEコマース企業である米国のアマゾン・ドット・コム、iPhoneでおなじみのアップル、世界最大のラグジュアリーブランド企業であるフランスのLVMH、世界最大級の食品・飲料メーカーであるスイスのネスレなど、私たちの日々の生活を豊かにしてくれる世界的な企業が並びます。
ここでは企業の規模とともに収益力にも着目しています。ROE(ReturnonEquity/自己資本利益率)とは企業の収益力を測る指標の1つで、企業が株主からの出資を受けた資金を使ってどれだけ効率的に利益を上げているかを示すものです。世界には、日本を代表する企業と比較しても、より高い収益力をもつ企業が存在します。世界に視野を広げることで、より有望な企業を発掘できる可能性が高まるといえるでしょう。
それでは実際に、世界に視野を広げて投資をすることでどのような収益が期待できるのかを見てみます。
まず、過去20年間のリターンを振り返ってみましょう。図表2‐2は2002年12月末からの20年間について、日本株式のみに投資した場合と、日本を含む世界株式に投資をした場合のリターンを比較しています。日本株式のみに投資をした場合でも3倍以上のリターンが実現していますが、世界株式は日本株式のみの場合のさらに約1.8倍のリターンとなっています。先ほど見た通り、世界には高い収益力を誇る企業が数多く存在していることもこの結果に影響している要因と考えられます。
一方で、20年間ずっと投資し続けた人は確かにこのリターンを得られたかもしれませんが、投資を始めるタイミングは人によって違うので実現したリターンも人によってまちまちではないかと考える方もいるでしょう。この疑問に答えるため、図表2‐3(上)では、過去20年の株式市場において、世界株式に異なるタイミングで10年間投資した場合にどのようなリターンを得ることができたかをシミュレーションしました。
結果は、この期間の様々なタイミングで10年間投資をすることで平均年率約9.5%のリターン(円換算ベース)を実現できたということになります。最も高い収益を得られた期間は2011年12月末から2021年12月末までの10年間で、約18.0%でした。逆に結果が最も低かったのは2006年10月末から2016年10月末までの10年間ですが、この場合でも約3.3%のプラスの収益を実現しています。
過去20年の世界経済は、リーマン・ショック(2008年)、チャイナ・ショック(2015年)、コロナ・ショック(2020年)など、様々な危機に見舞われています。どのタイミングで投資を始めてもプラスのリターンが得られるという結果を意外と思われる方もいるかもしれません。市場危機の都度、株式市場は一時的には大幅に下落するものの、投資を継続することで市場の回復を捉えることができ、結果としてプラスの収益を実現できました。これこそが、長期投資の重要性を物語る結果といえそうです。
図表2‐3(下)では、同様に日本株式で10年間投資したリターン(年率)を世界株式と比較しています。得られたリターンは平均で年率5.9%、最低水準となった2006年2月末から2016年2月末の期間のリターンはマイナスとなっています。この結果は、世界の企業に投資対象を広げることで、為替リスクはありますが、より広範な収益力を捉えることができるため、リスクを分散しながら資産の成長を実現することの証左といえるでしょう。
<著者プロフィール>
インベスコ・アセット・マネジメント株式会社
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