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(資産5億円)
仮に毎月の生活費を100万円としても、資産5億円では約40年、資産10億円では80年ほど暮らせます。よほど裕福な生活をしない限りは、安定した暮らしが続くと考えられます。
ただし、実際に何年暮らせるかは、ライフスタイルや家族構成、お住まいの地域などによって変わります。ご自身の生活費を基準にしたい人は、本記事を参考にしながらシミュレーションをしてみてください。
野村総合研究所の資料によると、国内で5億円以上の純金融資産がある超富裕層は約9万世帯です(※2021年時点)。
時期 | 超富裕層の世帯数 | 超富裕層の世帯割合 |
---|---|---|
2005年 | 5.2万世帯 | 約0.106% |
2011年 | 5.0万世帯 | 約0.099% |
2015年 | 7.3万世帯 | 約0.137% |
2021年 | 9.0万世帯 | 約0.166% |
(参考:野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計 」)
2005年のデータと比べると、超富裕層の数や割合は徐々に増えています。ただし、該当する世帯は上位の約0.166%であり、7割以上の世帯はマス層(純金融資産保有額が3,000万円未満)に含まれます。
5億円の資産で裕福な生活を送る場合、単身世帯では約79年、2人以上世帯では約53年暮らせます。1ヵ月あたりの生活費については、総務省統計局による家計調査のデータを参考にしています。
<単身世帯の生活費>
消費支出の内訳 | 1ヵ月あたりの支出額 |
---|---|
食料 | 3万9,069円 |
住居 | 2万3,300円 |
光熱・水道 | 1万3,098円 |
家具・家事用品 | 5,487円 |
被服及び履物 | 5,407円 |
保健医療 | 7,384円 |
交通・通信 | 1万9,303円 |
教育 | 0円 |
教養娯楽 | 1万7,993円 |
その他の消費支出 | 3万1,071円 |
合計金額 | 16万1,753円 |
(参考:e-Stat「家計調査 家計収支編 単身世帯」)
<2人以上世帯の生活費>
消費支出の内訳 | 1ヵ月あたりの支出額 |
---|---|
食料 | 7万7,474円 |
住居 | 1万8,645円 |
光熱・水道 | 2万4,522円 |
家具・家事用品 | 1万2,121円 |
被服及び履物 | 9,106円 |
保健医療 | 1万4,705円 |
交通・通信 | 4万1,396円 |
教育 | 1万1,436円 |
教養娯楽 | 2万6,642円 |
その他の消費支出 | 5万4,817円 |
合計金額 | 29万865円 |
(参考:e-Stat「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯」)
上記はあくまで平均支出額なので、本記事では以下のパターンに分けてシミュレーションを行いました。
<平均的な水準の生活>
・家計調査の生活費と同額
<余裕のある生活>
・家計調査の生活費+月10万円
<裕福な生活>
・余裕のある生活×2倍
ここからは単身世帯と2人以上世帯に分けて、5億円で何年暮らせるのかをシミュレーションします。
5億円の資産で暮らせる年数は、次の式で計算できます。以下は、小数点第二位以下は切り捨て計算しています。
<暮らせる年数の計算式>
5億円÷(1ヵ月あたりの生活費×12ヵ月)=暮らせる年数
この式を使って、3パターンの暮らせる年数を実際に計算してみます。
<平均的な水準の生活>
5億円÷(16万1,753円×12ヵ月)=257.5年
<余裕のある生活>
5億円÷(26万1,753円×12ヵ月)=159.1年
<裕福な生活>
5億円÷(52万3,506円×12ヵ月)=79.5年
裕福な生活を送っても、単身世帯では80年ほど生活できる結果になりました。日本の平均寿命(※)を想定すると、一世代は十分に暮らせる資産といえるでしょう。
(※)厚生労働省の「簡易生命表(令和4年)」によると、男性の平均寿命は81.05歳、女性は87.09歳。
次に、同じ流れで2人以上世帯の暮らせる年数をシミュレーションします。
<平均的な水準の生活>
5億円÷(29万865円×12ヵ月)=143.2年
<余裕のある生活>
5億円÷(39万865円×12ヵ月)=106.6年
<裕福な生活>
5億円÷(78万1,730円×12ヵ月)=53.3年
2人以上世帯については、裕福な生活で53.3年暮らせる結果になりました。平均寿命まで生きることを想定すると、男性は約27歳、女性は約33歳からであれば、5億円の資産のみで裕福な暮らしができると考えられます。
10億円の資産で裕福な生活を送る場合、単身世帯では約159年、2人以上世帯では約106年暮らせます。ここからは上記と同じ条件を用いて、資産10億円で何年暮らせるのかをシミュレーションします。
10億円の資産で暮らせる年数も、基本的な計算方法は同じです。
<暮らせる年数の計算式>
10億円÷(1ヵ月あたりの生活費×12ヵ月)=暮らせる年数
上記の式を用いて、まずは単身世帯で暮らせる年数からシミュレーションを行います。
<平均的な水準の生活>
10億円÷(16万1,753円×12ヵ月)=515.1年
<余裕のある生活>
10億円÷(26万1,753円×12ヵ月)=318.3年
<裕福な生活>
10億円÷(52万3,506円×12ヵ月)=159.1年
単身世帯については、裕福な生活でも150年以上暮らせる結果になりました。仮に毎月の生活費を100万円としても、約80年は安定した生活を送れます。
次に、2人以上世帯で暮らせる年数をシミュレーションします。
<平均的な水準の生活>
10億円÷(29万865円×12ヵ月)=286.5年
<余裕のある生活>
10億円÷(39万865円×12ヵ月)=213.2年
<裕福な生活>
10億円÷(78万1,730円×12ヵ月)=106.6年
10億円の資産があると、2人以上世帯でも100年以上は安定して暮らせます。生活費を平均的な水準に抑えれば、3世代~4世代は生活できる可能性があるでしょう。
5億円~10億円の資産を運用した場合、配当金や利息だけで何年暮らせるのでしょうか。運用結果によっては、元手の資産を減らさずに生活を送れるかもしれません。ここからは平均的な利回りを想定して、配当金生活や利息生活のシミュレーション結果を紹介します。
第四北越証券の資料(※)によると、東証プライム市場における予想平均配当利回りは2023年12月時点で年2.30%です。この配当利回りで運用すると、5億円や10億円の資産はどれくらい増えるのでしょうか。
(※)参考:第四北越証券「配当利回り銘柄リスト」
<期待リターンの計算式>
投資する資金×配当利回り=1年間で期待できるリターン
<期待リターンの計算>
【1】5億円×2.30%=1,150万円
【2】10億円×2.30%=2,300万円
前述の裕福な暮らしを想定して、上記のリターンで実際に生活ができるのかを計算してみます。計算式は以下の通りです。
<余剰分の生活費の計算式>
1年間で期待できるリターン-(1ヵ月あたりの生活費×12ヵ月)=余剰分の生活費
<単身世帯の場合>
【1】1,150万円-(52万3,506円×12ヵ月)=521万7,928円
【2】2,300万円-(52万3,506円×12ヵ月)=1,671万7,928円
<2人以上世帯の場合>
【1】1,150万円-(78万1,730円×12ヵ月)=211万9,240円
【2】2,300万円-(78万1,730円×12ヵ月)=1,361万9,240円
5億円を運用する場合でも、2人以上世帯で年間200万円以上を貯蓄できる結果となりました。したがって、年2.30%の銘柄を保有できれば、配当金だけで十分に生活できると考えられます。
ただし、年2.30%の配当利回りはあくまで平均値であり、中には配当金がない銘柄もあります。また、保有中に株価が下落するリスクもあるので、実際の投資判断は慎重に行いましょう。
日本銀行のデータによると、定期預金の平均金利は年0.04%~0.06%前後で推移しています。
時期 | 定期預金の平均金利 |
---|---|
2019年1月 | 年0.049% |
2020年1月 | 年0.054% |
2021年1月 | 年0.048% |
2022年1月 | 年0.049% |
2023年1月 | 年0.051% |
(※)日本銀行の時系列統計データ 検索サイトから閲覧できる、「定期預金の預入期間別平均金利(新規受入分) (1)総合」を参照。
仮に金利を年0.050%として、5億円や10億円を運用したときのリターンを計算してみます。
<期待リターンの計算式>
投資する資金×金利=1年間で期待できるリターン
<期待リターンの計算>
【1】5億円×0.050%=25万円
【2】10億円×0.050%=50万円
10億円の資産を運用しても、1年間で期待できるリターンは50万円になりました。1ヵ月あたりに使える金額は約4.1万円なので、平均水準の定期預金だけで利息生活を送ることはできません。
単純計算をすると、単身世帯でも約4倍の生活費が必要になるため、少なくとも年0.200%(0.050%×4倍)の金利で運用する必要があります。
前述の通り、5億円や10億円以上の資産がある超富裕層は0.1%程度です。日本では1億円の資産を持つ層も限られますが、最低限の生活を送るにはどれくらいの資産が必要になるのでしょうか。以下では、30歳の男女が平均寿命まで生活する場合の必要額をシミュレーションします。
最低限の生活費については、前述の平均支出額から月3万円を差し引いた金額で計算します。また、厚生労働省年金局の資料(※)によると、2022年度における老齢年金の平均受給額は月14万4,982円です。
(※)厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年e-金保険・国民年金事業の概況」
ここからは以下の手順で、男女別に必要な資産額のシミュレーションを行います。
<シミュレーションの手順>
【1】65歳以降から平均寿命まで受けとれる老齢年金を計算する
【2】「残りの生活年数×生活費」で、将来の支出を計算する
【3】将来の支出から、受けとれる老齢年金を差しひく
<受けとれる老齢年金の計算式>
(平均寿命-65歳)×(老齢年金の平均受給額×12ヵ月)=受けとれる老齢年金
<将来の支出の計算式>
(平均寿命-現在の年齢)×(毎月の生活費×12ヵ月)=将来の支出
<必要な資産額の計算式>
将来の支出-受けとれる老齢年金=必要な資産額
【男性の場合】
<受けとれる老齢年金の計算式>
(約81歳-65歳)×(14万4,982円×12ヵ月)=2,783万6,544円
<将来の支出の計算式>
(約81歳-30歳)×(13万1,753円×12ヵ月)=8,063万2,836円
<必要な資産額の計算式>
8,063万2,836円-2,783万6,544円=5,279万6,292円
【女性の場合】
<受けとれる老齢年金の計算式>
(約87歳-65歳)×(14万4,982円×12ヵ月)=3,827万5,248円(老齢年金)
<将来の支出の計算式>
(約87歳-30歳)×(13万1,753円×12ヵ月)=9,011万9,052円(将来の支出)
<必要な資産額の計算式>
9,011万9,052円-3,827万5,248円=5,184万3,804円(必要な資産額)
2人以上世帯については、夫婦2人のみで生活、平均寿命を84歳と想定してシミュレーションを行います。
<受けとれる老齢年金の計算式>
(84歳-65歳)×(14万4,982円×12ヵ月×2人分)=6,611万1,792円(老齢年金)
<将来の支出の計算式>
(84歳-30歳)×(26万865円×12ヵ月)=1億6,904万520円(将来の支出)
<必要な資産額の計算式>
1億6,904万520円-6,611万1,792円=1億292万8,728円(必要な資産額)
30歳から平均寿命まで最低限の生活を送るには、単身世帯で約5,000万円、2人以上世帯で約1億円の資産が必要になります。さらに生活費を節約している世帯もありますが、それでも数千万円単位の資産は必要になるでしょう。
定年まで働くことを想定したときに、この金額を貯蓄できるかどうかを検討してみてください。
5億円や10億円の資産で何年暮らせるかは、運用方法によっても変わります。多額の資産がある場合は、どのような運用方法が選択肢になるのでしょうか。
株式投資は、企業が発行する株式を売買する投資手法です。購入時よりも株価が上昇したタイミングで売却すると、購入数量や売却価格に応じた値上がり益を受け取れます。ただし、値下がりによって元本割れを起こす可能性があるので、リスク管理が必要です。
また、株式投資で期待できるリターンには、銘柄の保有によって受けとれる配当金や株主優待もあります。
<配当金とは>
配当金は、業績などに応じて投資家に還元される、企業活動の利益の一部です。「1株あたり〇円」のように計算されるため、保有株式数が多いほど受けとれる金額も増えます。ただし、配当方針は各企業が独自に決めており、中には配当を全く行わない銘柄や、徐々に配当金が減っていく銘柄も見られます。
<株主優待とは>
保有株式数に応じて、各企業が独自の優待品を還元する制度です。代表的な優待品としては、自社製品や優待券、カタログギフトなどがあります。配当金と同じように、銘柄によって優待品の有無や内容、条件などの方針が異なります。
5億円や10億円の資産がある場合は、配当金や株主優待に期待して長期保有する選択肢もあるでしょう。配当利回りや優待品が魅力的な銘柄を選ぶと、配当金や株主優待だけで生活できるかもしれません。
債券投資は、国や地方公共団体、企業などが発行する債券に投資をする方法です。債券を購入すると、事前に決められた利子が発行者から支払われ、満期時には元本がそのまま返還されます。
たとえば、国が発行する個人向け国債では、年0.05%の最低金利が保証されています。発行者によって金利は異なるため、債券の選び方次第では定期預金以上のリターンを期待できるでしょう。
ただし、発行者の財政状況が悪化したり、満期の前に中途解約をしたりする場合は、元本割れを起こすこともあります。損失のリスクを極力避けたい人は、発行者の信用度まできちんと確認し、満期まで保有する計画を立てましょう。
インデックスファンドとは、日経平均株価などの指数と連動するように設計された投資信託です。指数以上の運用成果を目指すアクティブファンドに比べると、投資成果や値動きが分かりやすく、保有中にかかる信託報酬も安い傾向があります。
インデックスファンドが連動を目指す指数には、国内外の株価指数に加えて、リート(不動産投資信託)指数やコモディティ指数、債券指数などもあります。選択肢が多く、ひとつの銘柄でさまざまな資産に投資できるため、幅広く分散投資をしたいときに役立ちます。
多額の資産を運用する場合は、相対的にリスクが低い債券型を選んだり、値上がり益に期待して長期保有をしたりする選択肢が考えられます。値上がりすることだけを想定するのではなく、値下がりによって資産を失う可能性も考慮して運用を行いましょう。
ヘッジファンドは、主に機関投資家や富裕層から資金を集めているファンドです。一般的な投資信託に比べると運用方法の幅が広く、ファンドによっては相場が下がっている時期にもリターンを期待できます。
その他、確実な収益を目指すファンドなどもありますが、ヘッジファンドは公募での資金調達は行っていません。プライベートバンクや投資助言会社に相談するなど、一般的な金融商品とは違ったアプローチが必要になります。
REITは、投資家から集めた資金で、オフィスビルなどの不動産を運用する投資信託です。その特性から「不動産投資信託」と呼ばれており、投資先の選定や管理は専門家が代行してくれます。
REITの投資先には、賃貸住宅や商業施設、物流施設、ホテル、インフラ施設なども含まれます。株式投資や債券投資と組みあわせれば、幅広い分散投資が可能になるでしょう。また、物価・地価上昇の影響を受けやすいため、REITはインフレ対策として活用されることもあります。
平均水準の生活を想定すると、5億円~10億円の資産では100年以上暮らせます。ただし、退職時期や家族構成、ライフスタイルなどによっては、資金不足になる可能性も否定できません。裕福な暮らしをしたい人は、何年後まで暮らせるかをしっかりとイメージし、必要に応じて運用方法まで考えてみてください。
※本記事は資産運用に関わる基礎知識を解説することを目的としており、資産運用を推奨するものではありません。また、過去の実績は将来の運用成果等を保証するものではありません。
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