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・数百円などの少額から始められる
・一度の積立設定で自動的に購入できる
・間隔や金額を一定に保つと、平均の購入単価を抑えられる
<積立投資のデメリット>
・長期の運用が前提の投資方法になっている
・途中でやめると積立投資の効果が小さくなる
・一括投資よりも短期間で大きいリターンを出すのが難しい
上記のメリットとデメリットを踏まえて、積立投資を検討してみましょう。
一括投資は、資金を一度にまとめて投資する方法です。積立投資に比べると短期間で大きなリターンを期待できますが、その分だけ損失のリスクが高くなります。
例えば、投資信託に1度に1,000万円投資した場合、1週間後に基準価額(※)が10%下がると評価額が900万円まで下がります。それに対して、積立投資の場合は全額投資しいているわけではないので、損失を抑えることができます。
一括投資のメリットとデメリットは、以下の通りです。
<一括投資のメリット>
・短期間で大きなリターンを期待できる
・手元の資金をすぐに投資に回せる
<一括投資のデメリット>
・投資のタイミングを見極めるのが難しい
・短期間で大きな損失を出すこともある
上記のメリットとデメリットを踏まえて、一括投資を検討してみましょう。
(※)投資信託の値段のこと。
大きな金額で資産運用を行う場合は、投資信託であってもリスクを把握しておくことが大切です。ここでは、投資信託の運用時に注意したい7つのリスクを紹介します。
<リスク一覧>
・元本保証がない
・繰上償還されることがある
・一括投資をすると急な出費に困ることがある
・価格変動リスク
・為替変動リスク
・金利変動リスク
・信用リスク
それぞれのリスクについて、詳しく解説していきます。
投資信託には元本保証がないので、購入時よりも基準価額が下がって損失が生じることもあります。運用の結果次第では、想像以上に資産を失うかもしれません。
繰上償還とは、当初予定されていた期間が終了する前に、運用していた資金が返還されることです。そのため、基準価額が購入時よりも下がっているときに繰上償還が実施されると、値上がりを待たずして損失が確定することになります。実施条件は投資信託約款(※)で定められており、パフォーマンスの低迷や市場環境の変化、運用会社の破たんなどがあります。
(※)投資信託の運用方法や運営方法を規定したもの。
一般的な投資信託では、換金の手続きから受け取りまでに4営業日以上かかります。すぐには換金できない金融商品なので、一括投資をすると現金不足になるかもしれません。急な出費にも対応できるように、ある程度の余裕資金は手元に残しておくことが大切です。
投資信託のポートフォリオに組み込まれている株式や債券などは、価格が変動する可能性があります。実際に株価や債券価格が下落すると、基準価額の下落要因になります。
為替レートが変動すると、外国通貨建ての株式や債券などに投資する投資信託の場合は基準価額に影響を与えます。各資産の価格が変わらなければ、円高になれば基準価額がマイナス、円安ならプラスになる可能性があります。
外国の株式や債券などで運用する投資信託には基本的に為替変動リスクがあるので、各国の為替レートの動向も確認しましょう。
金利が変動すると、投資信託の損益に影響を与えます。実際には、金利が上昇すると債券の価格は下落し、金利が下落すると債券の価格は上昇することによって、債券が組み込まれている投資信託の基準価額を変動させます。この他にも金利が上昇することで、企業や不動産の収益が悪化する可能性があります。
そのため、金利の動向を把握しておくと、将来の値動きを予測するのに役立ちます。
信用リスクとは、資金の借り手が財政難や経営不振などによって債務不履行に陥って、損失が生じる可能性のことです。このような債務不履行が発生した債券や企業の株式が組み込まれている場合、基準価額の下落要因になります。
ここからは、投資信託を運用する際に損失のリスクを抑える方法を紹介します。
投資信託の損失を抑える方法としては、分散投資が有効とされています。投資信託はもともと複数の資産で運用される金融商品ですが、「地域・資産・時間」を意識してポートフォリオを組むと、さらにリスクを抑える効果が期待できます。
投資信託における分散投資の例は、以下の通りです。
・地域の分散
→国内株式と外国株式に投資するファンドを組み合わせる
・資産の分散
→株式や債券、不動産に投資するファンドも保有する
・時間の分散
→積立投資で平均購入単価を引き下げる
分散投資によってバランスの良いポートフォリオを組めると、特定の地域や資産で発生した問題に通じて受けるダメージを抑えることができるかもしれません。
投資に使える資産が1,000万円あったとしても、最初は数十万円程度から始めることで、損失の大きさを抑えることができます。
積立投資の場合も1度の積立金額を抑えることで、リスク許容度(※)を超える損失を抱えないように調節することが大切です。実際にどのようなリスクがあるのか理解した上で、投資額を増やしても遅くはないでしょう。
(※)リスクを負う人がどの程度までの損失を出しても大丈夫なのか示す尺度のこと。
ほぼ同じ組み入れ銘柄のファンドがある場合は、できるだけ手数料が安いものを選びましょう。手数料の中でも信託報酬は、数%の違いで大きな差になることもあるため、各ファンドの詳細を確認することが大切です。
以下の表は、信託報酬の年率ごとに、1,000万円を1年間運用した場合のコストを計算しています。分かりやすくするために、基準価額が変動しなかった場合を想定しています。
年率 | コスト |
---|---|
0.1% | 1万円 |
0.5% | 5万円 |
1.0% | 10万円 |
1.5% | 15万円 |
2.0% | 20万円 |
信託報酬の他にも、ファンドによっては購入時手数料や信託財産留保額などがかかることもあります。全ての手数料を比較した上で、取引時・運用時のコストを抑えやすいファンドを選びましょう。
前述の通り、上記についてはほぼ同じ組み入れ銘柄のファンドの場合に限ります。似たポートフォリオのファンドがない場合は、各種手数料が高いからといって避けるのではなく、手数料に見合った運用がされているのかを確認することが大切です。
積立投資で投資信託を購入する場合は、長く続けることを意識しましょう。
前述の通り、積立投資は定期的に金融商品を購入する金額を一定に保つことで、価格が下がったときには多く購入し、価格が上がったときには少なく購入することになります。その結果、平均の購入単価が平準化されるので、値動きの状況にもよりますが、損失のリスクを抑えやすくなります。
ここからは、投資信託で1,000万円を運用する際に参考になる3つのポートフォリオ例を紹介します。
インデックスファンドとは、市場全体を表す代表的な指数との連動を目指しているファンドのことです。ファンドごとに「ベンチマーク」と呼ばれる指数が設定されており、国内株式の場合は、日経平均株価やTOPIXなどがベンチマークになっています。
インデックスファンドはベンチマークの指数に含まれる構成銘柄に幅広く投資をするため、一つの銘柄で分散投資ができます。また、値動きが分かりやすい点や、信託報酬などのコストが相対的に安い点も、インデックスファンドならではの特徴です。
ポートフォリオ例は、以下の通りです。
<ポートフォリオ例>
①TOPIXをベンチマークにするファンド(40%)
②S&P500をベンチマークにするファンド(30%)
③日経平均株価をベンチマークにするファンド(30%)
合計3銘柄(投資割合100%)
一方で、ベンチマークを上回る運用成果を目指しているファンドは「アクティブファンド」と呼ばれます。インデックスファンドとは特徴が異なるため、両方を組み合わせとポートフォリオの幅が広がります。
アクティブファンドの組み入れ銘柄は、「ファンドマネージャー」と呼ばれる専門家が独自に選びます。企業や市場の分析も行われるため、同じベンチマークでもインデックスファンドとは組み入れ銘柄が異なります。
ポートフォリオ例は、以下の通りです。
<ポートフォリオ例>
①日経平均株価をベンチマークにするファンド(25%)
②S&P500をベンチマークにするファンド(25%)
③成長性の高い中小企業の株式に投資をするファンド(25%)
④国内外の国債・社債に投資をするファンド(25%)
合計4銘柄(投資割合100%)
上記の①と②がインデックスファンドで、③と④がアクティブファンドです。
投資信託の中には、分配金を出すものもあります。分配金には運用益から支払われる「普通分配金」と、元本から切り崩される「特別分配金(元本払戻金)」があります。このうち特別分配金は投資資金の払い戻しにあたるため、投資家の利益にはなりません。
これらの分配金は現金で受け取れるため、現金で残しておいたり、生活費に充てたりと、その時々に適した使い方を選べます。
ポートフォリオ例は、以下の通りです。
<ポートフォリオ例>
①バリュー株を中心に運用して分配金を出すファンド(50%)
②国内外の債券を運用して分配金を出すファンド(50%)
合計2銘柄(投資割合100%)
投資信託で1,000万円を運用すると、10年後にどのくらい増えるのかシミュレーションしてみました。このシミュレーションは金融庁の「資産形成シミュレーター」を利用しています。
以下の表は、各種手数料を含めず計算しています。実際の運用ではシミュレーションのように同じリターンが継続することはありません。
年利 | 10年後の資産額 |
---|---|
1% | 1,105万円 |
3% | 1,344万円 |
5% | 1,629万年 |
7% | 1,967万円 |
10% | 2,594万円 |
年利10%が10年間続くと、1,000万円が倍以上になっていました。
日本証券経済研究所によると、国内株式の場合は62年間(1952年〜2013年)で年平均12.19%(※)のリターンになっています。国内の相場や経済の状況にもよりますが、上記のシミュレーションに近いリターンになることが期待できるかもしれません。
(※)参考:日本証券経済研究所「株式リスクプレミアムの時系列変動の推計」
大きな資金を運用する場合は、投資信託でもさまざまなリスクを抱えます。資産を減らしてしまう可能性もあるため、事前にリスクを確認してからファンドを選ぶことが大切です。本記事を参考にしながら、ご自身に合ったポートフォリオを考えてみましょう。
※本記事は投資信託に関わる基礎知識を解説することを目的としており、特定ファンドの売買や投資を推奨するものではありません。
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