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(本記事は、清水 克彦氏の著書『すごい!家計の自衛策』=株式会社小学館、2021年1月28日発行の中から一部を抜粋・編集しています)
介護休業と介護休暇の制度については先に触れましたが、それを使わなくても会社を休む手段はあります。働き方改革法の成立に伴い、2019年4月から導入された有給休暇の義務化です。
雇用主(会社や事務所など)は、年間で10日以上の有給休暇が付与されるすべての社員に対して、毎年5日、時季を指定して有給休暇を取得させることが義務付けられたのです。
有給休暇義務化の特徴は、正社員と同じようにフルタイムで長期間働いている人であれば、パートであっても正社員と同じ日数の有給休暇が取得できるようになった点です。
これであれば、介護休業や介護休暇を取得しなくても、従来の有給休暇と組み合わせて介護のために休むことは可能です。
私もそうですが、介護休業はなかなか取得できないという人でも、「すみません、親の介護の諸手続きがあり、来週の木曜と金曜、有給休暇を取らせてください」と切り出しやすくなったのではないでしょうか。また、パートでも有給休暇が増える形になりましたので、たとえば共働き世帯の場合、仮に夫が正社員、妻がパートであったとして、双方が交替で休みを取り、介護に当たることも可能になりました。
これまで有給休暇を取得することは、働く人にとって「権利」に過ぎなかったものが、働き方改革法によって「義務」に変わりました。雇用主にとっては休ませないと罰則が科せられることになりました。働き方改革そのものには、プラス面とマ イナス面がありますが、年間で5日も増えた有給休暇を使わない手はありません。
介護という錦の御旗のもとに、使えるものはまだまだあります。ひとつは親の介護費用も医療費控除の対象になるという点です。 まず、要介護者である親を、特養をはじめ介護老人福祉施設などに預けた場合、自己負担額の2分の1が医療費控除の対象になります。介護保険や親の貯金取り崩し以外に、皆さんの財布からリハビリ代や治療費を支払った場合は、確定申告で税金が戻ってきますので忘れないようにしましょう。 自宅で親の介護をしたときにかかる費用も控除の対象になります。 自宅で介護をする場合、訪問看護や施設でのデイサービス、それにショートステイなどを利用することになりますので、案外、自己負担額が多くなります。これが 控除の対象になります。
このほかにも、遠く離れた地域に住む親を介護する「遠距離介護」にも特典があります。
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