タウとシヌクレインがどの様に神経細胞内で凝集し神経細胞の機能を障害させ、細胞死に至るか不明な点が多く、そのメカニズムを明らかにすることで、疾患治療につなげることが期待されます。我々の研究室では、アミロイドベータが神経細胞内のタウタンパク質をリン酸化し、凝集させる1つのメカニズムとして、CRMP2(コラプシン反応媒介タンパク質2)のリン酸化が関与する可能性を報告しました(Noguchi et al., 2025)。この研究では、CRMP2のリン酸化を抑制することで、タウタンパク質リン酸化が抑制されることを示しています。今後CRMP2のリン酸化を抑制する薬剤の効果を検討する予定であり、今回の複合的な病態の進行を抑制する効果があるかも検討したいと考えています。
マウスを所定の箱に入れ、電気ショックを与える。24時間後にマウスを同じ箱に入れると、マウスは箱に入れられることと電気ショックを与えられることを関連付けて記憶している。これを文脈記憶と呼ぶ。文脈記憶によりマウスは恐怖のためすくみ(freezing)行動を示す。5分間の観察のうちで、freezingを示した割合を比較することで、文脈記憶を評価する。この種の記憶が障害されると、freezing time (%)は低下する。
(7)論文情報
雑誌名:Molecular Neurobiology
論文名:Co-expression of mutant tau and α-synuclein in neurons promotes tau phosphorylation, neuronal loss and neuroinflammation in mouse brain
執筆者名(所属機関名):Yuki Yamamoto(早稲田大学)、Toshiki Kubota(早稲田大学)、Daisuke Noguchi(早稲田大学)、Takaomi C Saido(理化学研究所)、Toshio Ohshima(早稲田大学)*