そして、これまで出演していただいたたくさんの素晴らしいキャストの皆さまと共に10年の軌跡を味わえたら素敵だなという思いから、「10周年記念特別コンサート」も開催することにいたしました。これまでも劇団のコンサートは開催してきましたが、今回は『Play a Life』を真ん中に据えて行うので、作品を存分に味わっていただく時間になるのではないかと思っております。
妃海:本当に嬉しかったです。(劇団TipTapの)『Bye Bye My Last Cut』に出演させていただいたときに、1から作品を作るという稽古場を初めて経験させていただきました。みんなで話し合って、毎日、何かが生まれていく瞬間があって、みんなが熱量を持ってそこに命や温度を吹き込んでいくという現場に携わらせていただき、すごくすごく愛しい時間だなと思ったんです。それを経験してから別の舞台に立たせていただいたときに、全く違う感覚でお芝居をしたり、歌を歌ったりでき、表現をすることがもっと好きになりました。今、私は朝に、この作品の台本を読んだり、譜面を読んだりしているのですが、涙が止まらない場面が毎日違うんです。それほど素敵な作品ですので、今、私ができる表現をさまざまな気持ちを使ってたくさん表現していきたいと思います。
妃海:以前に朗読劇で1日だけご一緒させていただいたことがありましたが、その時の私は今よりももっと「自分を装飾していないといけない」という思いが強かったので、相手を見る余裕すらなかったように思います。矢崎さんがどういう方だったのか、どういうお芝居だったのかなっていうことをよく感じられないまま終わってしまいました。今、一豪さんがおっしゃった通り、素で生きているよりも何かを纏っていた方が自分でも楽なんです。妃海風であるという方が生きやすいと感じていましたが、『Bye Bye My Last Cut』で何かを纏わず、自分の気持ちに忠実に挑んで演じられる場所はすごく居心地が良いと思うようになりました。纏わない自分は恥ずかしくもありますが、それを出しながらも歌で繋いでいく『Play a Life』はきっと居心地が良い。そうした状態で矢崎さんとまたご一緒し、心と心を通わせることができるのはすごく楽しみです。