■研究の波及効果や社会的影響 本研究の成果は次の3点において波及効果や社会的影響につながると考えます。 ① 研究面として国内外に対して動きの予測性への視覚的選好がASDの診断基準の1つである「限定された反復的な行動様式」を反映している可能性を示したことで、これにより一層多角的なASDの理解や病態の解明にも寄与できる。 ② 臨床的意義として2分程度の動画視聴による視覚的選好の非言語的評価がASDリスク児の早期発見指標として活用できる可能性を示したことにより、質問紙による過剰な主観的評価の排除や、言語発達が未熟なより低年齢の子どもたちに適用可能になると考えられる。 ③ 社会的意義として、ASDの早期発見に寄与すること期待できる。 現在でも我が国のASD診断のボリュームゾーンは3歳前後ですが、未診断や経過観察の選択等もあり、平均的な診断時期は6~7歳とされています※3。そのため、本研究の成果が医師の診断を補助することにつながり、より早期の段階で適切な支援を提供することにつながって欲しいと思います。