一般的に都市OSは、地域アセット、地域サービスをつなぐ中間的な情報システムとして位置付けられていたため、これまでの都市OS導入については、システムアーキテクチャの議論はされるものの、地域サービスを拡大する視点が欠けており、導入後も地域住民の利用が広がらないことが課題となっていました。神戸市は、千葉県柏市の柏の葉スマートシティで既に様々なサービス実績がある都市OSとして、ポータルサイトである「スマートライフパス」、データ連携基盤「Dot to Dot」に着目し、既存の都市OSを柏市と連携しながら共同利用することで、地域サービスを横展開しました。それによりこれまでの都市OSが抱える地域サービス拡大の課題を解決し、初期費用負担なく迅速に地域サービスを展開することを可能としました。
神戸市では先行して、2024年1月から、都市OSの「スマートライフパス」、「Dot to Dot」を活用して健康増進サポート事業「KOBE Sports &Well-being City Project」の参加者100名に対して、健康増進施策の効果として、運動習慣の継続化に役立つ効果を実証しています※5。
2024年8月から神戸市全域に「スマートライフパス」、「Dot to Dot」を本格導入し、地域サービスとして「子育て支援スタンプラリー)」、「こども一時預かりモニター」を神戸市内で実施しました。
神戸市では今後、ポータルサイトである「スマートライフパス」、データ連携基盤「Dot to Dot」を活用して、ポータルサイトやデータ連携基盤と連携したサービスを拡大していきます。都市OSは連携サービスや地域のアセットと組み合わせることで地域住民の課題解決が促進されることが特徴です。
また、都市OSを共同利用する取り組みは、総務省が実施する令和6年度多様な広域連携促進事業に採択されており、神戸市と柏市が連携して取り組むとともに、神戸市は、汎用的な自治体へ展開する可能性を検証し、導入スキームや標準的なシステム仕様、パーソナルデータ連携のガイドラインなども整備します。これにより他自治体が都市OS「スマートライフパス」、「Dot to Dot」を導入する際にこの取り組みを参照して費用対効果を検証できるようになることも目指しています。
「Dot to Dot」によるパーソナルデータ連携とは
柏の葉エリアでは、「健康長寿」「新産業創造」「環境共生」の3つのテーマを掲げて、街づくりを行ってきました。その中で柏の葉に関わる生活者の方を対象に、複数のヘルスケア関連サービスをご利用いただけるポータルサイトとして2020年にサービスを開始したのが「スマートライフパス」です。「スマートライフパス」では、登録したユーザーが日々の健康管理や健康アドバイスなどのサービスを利用できるだけではなく、独自開発した安全性の高いネットワーク環境「Dot to Dot」を活用することで、提携サービス間におけるパーソナルデータの連携が可能となり、データ連携による新しいサービスを利用することができます。なお、パーソナルデータは、利用者の同意がないと連携はされないのが特徴です。「Dot to Dot」はデジタル庁が発行するデジタル実装の優良事例を支えるサービス/システムのカタログ(2024年春版)に掲載されているデータ連携基盤です。